テクノロジー

2021.09.25 08:00

元テスラ社員が立ち上げた「自動運転トラクター」企業の実力

(c) Business Wire

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米国の農場経営者たちは、天候不順や虫害、作物の価格の低迷などに悩まされている。しかし、パンデミックと移民の取締の強化、カリフォルニアの山火事などが重なった結果、トラクターのドライバーを雇用するためのコストは、ここ1年で25%も上昇しているという。

「トラクターのドライバーの賃金の高騰は、農家の経営を脅かしている」と語るのは、元テスラの社員で、モナーク・トラクター(Monarch Tractor)の共同創業者でプレジデントのマーク・シュワガー(Mark Schwager)だ。

シュワガーが立ち上げたモナーク・トラクターは、ドライバーを必要としない電動式のトラクターを製造している。カリフォルニア州リバモアを拠点とする同社は、来年から本格的な生産を開始する予定だ。

先日、デトロイト郊外で開催されたイベント「The Battery Show」の当日に行われたインタビューで、シュワガーは「当社は、農家のために妥協のないプロダクトを開発した」と語った。

モナーク社のトラクターは、新世代の電池セル「NMC811」を用いたバッテリーを搭載し、高いエネルギー効率を実現している。バッテリーの持続時間は作業内容によって異なるが、草刈りや農薬散布などの基本的オペレーションでは約8〜10時間、耕起などのヘビーな作業では約5時間という。ただし、バッテリーは交換式のため、現場で交換できる。

さらに、最大のメリットはドライバー無しで運転可能な点だが、モナーク社のトラクターは、自動運転車のようにLiDARなどの複数のセンサーを用いず、カメラだけで走行する。

「その理由のひとつは、LiDARが非常に高価だからだ。背が高いつる状の作物の場合、風で揺れてLiDARの視覚の邪魔になる」と、シュワガーは話す。同社のトラクターは、完全な自動運転ではなく、常に誰かがリモートでその動きを監視しており、何か問題が起きれば、トラクターがアラートを送信する仕様になっている。

モナーク社のトラクターの価格は、一般的なディーゼル式トラクターの約1.5倍だが、労働コストの削減を考慮すれば、短期間で投資を回収できるとシュワガーは述べた。


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編集=上田裕資

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