企業の最高経営責任者(CEO)である筆者は、対面イベントの実施について非常に難しい決断を迫られてきた。しかし、対面形式での会議やイベントでは、主催者が効果的な措置を講じれば、感染リスクを大幅に抑制できることを筆者は学んできた。
以下に、専門家のアドバイスをご紹介しよう。会議運営業界で60年の経験を持つ、世界最大のメディア・情報・サービス企業、ノーススター・ミーティングズ・グループ(Northstar Meetings Group)のバイスプレジデント兼コンテンツディレクターのローレン・エデルスタイン(Loren Edelstein)が勧めている手順だ。
エデルスタインは次のようにアドバイスしている。
事実を共有する
世界的なイベント企業フリーマン(Freeman)と、シミュレーションソフトで健康リスクの予測を行うエピステミックス(Epistemix)が実施した最新調査によると、新型コロナウイルスに感染する確率は、ビジネス会議よりも日常生活のほうがずっと高いことが明らかになっている。2021年8月半ばに実施された調査では、5600人を超える回答者の80%が2度のワクチン接種を終えていた。ビジネスイベント参加者の新型コロナウイルス感染率は、同期間における全米平均と比べて95%低く、また、イベント開催地の都市部と比べて8倍も低かった。
開催地の規制を確認する
ワクチン接種状況や検査、マスク着用に関する規則の内容は、都市、州、国によって大きな差があるうえ、変更も頻繁に行われている。米国内を見ても、場所によって規制には雲泥の差がある。
たとえば、ハワイ州オアフ島は現在、会議を一切禁止している。ニューヨーク市は、写真付きの身分証明書と、少なくとも1度のワクチン接種済み証明書がないと、屋内会場やバー、レストランに入ることができない。一方でフロリダ州は、自治体や学校などがマスク着用やワクチン接種を義務付けることを禁止している。開催地について入念な下調べが必要だ。
入場条件を設ける
イベントの実施にあたっては、開催地の要件を満たすことが最低条件だ。しかし、多くのイベントはさらに踏み込んだ措置を講じている。慎重を心がけるなら、ワクチン接種済み証明書や、イベント開始の48時間以内あるいは72時間以内に実施した検査による陰性証明を提示するよう求めてもいい。イベント会場の入口で迅速検査や検温を実施すれば、さらに進んだ予防ができる。