ビジネス

2021.09.26 11:00

セールスパーソンが信頼を勝ち取るために必要な「聞く技術」


それでは、見込み客の話をよく聞き、適切に対応するための、確かな実績に基づく3ステップを以下に紹介しよう。

ステップ1:問題を特定する。見込み客の意図は? 自分に声をかけてきたのはなぜだろうか? 見込み客の目標、今ある資産、そして障壁は何か? これらのポイントを把握するための質問を見込み客に投げかけ、回答に真摯に耳を傾けよう。

ステップ2:見込み客の話を聞き、そのマインドセットを把握する。これは、相手が善人か否かを見極めるということではない。現時点で、見込み客が状況をどう認識しているのか、その視点を把握することが大切だ。ステップ1と同様に、質問を投げかけ、その回答に耳を傾けよう。

ステップ3:相手が求め、必要としている形で返答する。適切に返答するためには、こちらの言葉遣いを、見込み客のマインドセットと合わせる必要がある。相手のマインドセットに寄り添った、適切な言葉遣いを心がけよう。

「調査で話を聞いた顧客は口々に、『自分たちが問題と考えている領域にマッチしない機能についての話は、それがどんなに優れたものだったとしても、聞きたくない』と話していた」とスティールは語る。「実際、そうした機能についてセールスパーソンが語れば語るほど、顧客は『これらすべてを採用したら、どれだけの費用がかかるのだろう?』という懸念を募らせるものだ。セールスパーソンが商談の中で盛んにアピールする機能の多くは、どんな価格であれ、必要とされていないか、求められていないものだった」

スティールによれば、最も優秀なセールスパーソンは、見込み客が抱える懸念事項や悩みについて、たとえそれ自体は販売する製品やサービスに関わるものでなくても、しっかりと話を聞いた上で、話を始めるという。こうしたセールスパーソンが話題にするのは、見込み客の悩みに応える機能、あるいは、見込み客側から問い合わせがあった機能についてだ。

「こうしたアクティブ・リスニングのテクニックを用いると、見込み客は、セールスパーソンを信頼し、自社の製品やサービスの枠にとどまらない豊富な知識のある人物だというイメージを抱くようになる。そうなれば、自分たちの問題とマッチしていない機能についても、不要な出費ではなく、特別な高機能だとポジティブに受け止めてくれる」とスティールは指摘する。「さらに彼らは、このセールスパーソンは自分たちのことを、売上が見込める顧客という枠を超えて気にかけてくれていると考えるようになる」

見込み客との商談を始めるにあたり、きっかけ作りとなる質問を知りたいというセールスパーソンのために、スティールから教えてもらった、あらゆる商談で役に立つ質問の例を以下に挙げよう。

・夜眠りにつく前に頭に浮かぶ、気がかりな事柄は何ですか?
・今後、前に進んでいく上での目標は何ですか?
・さらなる成功をつかむ上で障壁になっている事柄は何ですか?
・基準を満たすことは、どのくらいの頻度でできていますか?
・さらなる成果を出すにはどうしたら良いでしょう?
・貴社の事業や市場は、今後どのように変化していくとお考えですか?

このリストから質問を選び、商談をスタートさせよう。質問を投げかけたら、まずは話を聞くことだ。

スティールはさらに、こうアドバイスしている。「判断せずに聞こう。議題も用意せずに、ただ話を聞くことだ」

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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