米調査団体ガン・バイオレンス・アーカイブによる2014年1月から2021年6月までのデータ解析によると、2020年5月以降、「銃撃犯を除く4人以上が負傷または死亡した」という条件での銃乱射事件が例年以上に増加していることが明らかになった。
この解析によると、2020年7月に発生した銃乱射事件は88件だった。それに対し、2019年7月は42件、2018年7月は45件だった。
全般的に見ると、過去15カ月に発生した銃乱射事件は、例年に比べて343件多く、死者は217人、負傷者はおよそ1500人増加したという。
パンデミック中は、それ以前と比べ、2日ごとにおおよそ死者が1人、負傷者が7人増えた計算になる。
JAMAネットワーク・オープンで発表された研究論文では、パンデミックによるロックダウン実施や、一般的な先行きへの不安、死や社会的孤立への恐怖心によって、「精神的・金銭的に、思いがけない過剰な負担がかかった」ことが、銃乱射事件の増加を誘発した可能性があると述べられている。
論文著者たちは、銃乱射事件の原因はほとんど解明されていないと指摘した上で、今回の知見について、「銃乱射事件は、(中略)社会的・経済的な要因に影響される可能性があるという考え方と一致するものだ」と述べている。
論文著者たちは、研究の妨げになった点として、銃による暴力をタイプ別に絞り込んだ全米規模のデータベースが存在しないことを挙げている。銃による暴力は、原因も結果もさまざまだ。米国で発生した銃乱射事件に関する記録は単なる寄せ集めにすぎない。米連邦捜査局(FBI)は発生状況を記録しておらず、一定の定義もない(FBIは、大量殺人の発生状況は記録しているが、そこには銃による暴力がほとんど含まれていない)。