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新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は働き方を再定義し、リモートやハイブリッド、デジタルノマドといった仕事の仕方が「ニューノーマル」になった。

こうしたなか、それをさらに一歩先に進めようとする試みが英国で始まっている。英政府は労働者に対して、新たな仕事を始める際に、柔軟な勤務形態を当初から求められる権利を与えることを検討しているのだ。

法令案によると、国内のすべての労働者を対象に、仕事の初日に柔軟な勤務形態を申請できるようにする。企業側に対しては、それにただちに応答することを義務づけ、申請を却下する場合には相応の理由を示すことを求める。現状では、労働者は今のポジションに就いてから半年以上たっていなければ、こうした申請はできない決まりになっている。

法令案では、誰でもこうした申請ができるとしているが、とくに「女性や障害者、子どもをもつ親、介護従事者が職業生活と私生活を両立できるようにする」ことに主眼を置いている。

労働者に初めから柔軟な勤務形態を選べる権利を付与する案の検討は、実はコロナ禍前から始まっていた。イングランドは2019年にさまざまな柔軟な勤務モデルについて調査しており、それには時短勤務やワークシェアリング、在宅勤務なども含まれていた。

現行案に対しては不十分だとする声もある。透明性を高め、労働者側が上司に柔軟な勤務形態を申請する際に気まずさを感じずにすむように、企業側にどのような勤務形態が可能かを求人時に明示させるべきだ、といったものである。

統計データによると、過去には、柔軟な勤務形態の申請のうち3割超が却下されていた。ワーキングマザーをはじめ多くの人は、申請しても認められないと感じ、申請自体を見送っていたとみられる。また、ただこうした申請をするだけでは上司から仕事に熱心でないとみなされ、不利益を被るのではないかと心配した人も多かったようだ。

英労働党のアンジェラ・レイナー副党首は「労働党は、柔軟な働き方をたんに申請できるだけでなく、実際にそうできる権利を労働者に与えます。仕事の最初の日から、その完全な権利を、すべての労働者に与えます」と述べている。また「パンデミック後の『ニューノーマル』とは、すべての労働者が、柔軟性、安全、職場での強化された権利に基づく新たな契約を結べることでなくてはなりません」とも強調している。

英国の動きも、仕事に対するわたしたちの考え方が変わってきたことの表れだろう。仕切りで区切られたスペースに週5日、1日8時間以上張りつけになるというのは、もはや古臭い考え方なのだ。今では週休3日や6時間勤務、フレックスタイム、メンタルヘルス休暇、燃え尽き症候群を防ぐための1週間のオフィス閉鎖など、働く人に配慮したさまざまな取り組みが検討されるようになっている。

編集=江戸伸禎

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