テクノロジー

2021.09.26 07:00

世界初の民間人宇宙飛行、小児がん制圧へ67億円の寄付金を集める

インスピレーション4 (c) SpaceX

スペースX主導の宇宙飛行ミッションは、ここ数年、世界の注目を集めている。同社が、宇宙旅行の分野を飛躍的に前進させ、宇宙開発への世界的関心に再び火をつけているからだ。

スペースXはまた、研究開発においても最前線に立っている。しかもその取り組みは、自社の宇宙船や宇宙飛行技術だけでなく、人類共通の課題にも及ぶ。筆者はこれまで、この側面に関する記事をいくつか執筆してきた。宇宙旅行が人の健康に与える影響を調べるための資材を積んだスペースXの無人補給船打ち上げや、同社が衛星打ち上げを担当する衛星通信サービス「スターリンク」が、医療へのアクセスに革命的な変化をもたらす可能性などを取り上げてきた。

そんなスペースXの最新の動きが、がん治療への関心を喚起する取り組みだ。具体的には、同社が2021年9月15日(現地時間)に打ち上げた「インスピレーション4」ミッションが、この取り組みを担っている。

同ミッションは、「世界初の民間人だけの地球周回ミッション」を謳っている。その名称には、テネシー州にある「セント・ジュード小児研究病院への関心を高め、寄付金を集めるという目的を帯びたクルー4人を讃える」意図でつけられたという。

寄付金集めのための特設ページには、この目的に関する詳細な説明がある。

「1962年、米国人宇宙飛行士が初めて地球周回軌道の飛行に成功した年に、唯一無二の病院がテネシー州メンフィスに誕生した。その使命は、宇宙空間とはまた別の未踏の領域、すなわち、がんなどの生命に関わる小児疾患の治療法確立だ。しかもこの病院は、子どもの人種、民族、信仰、あるいは家族の治療費支払い能力を問わないとの方針を掲げていた」

「そしていま我々は、宇宙の新たなフロンティアを見据えている。それは、世界初となる民間人だけの宇宙旅行だ。同時に地球上においても、小児がん撲滅に向けた戦いで、科学は進展を見せている。米国では、セント・ジュード小児研究病院で考案されたさまざまな治療法により、小児がん患者の全生存率は20%から80%以上へと大幅に上昇した。しかし多くの発展途上国では、がんと診断された子どもが生存できる割合は5人に1人に満たない。セント・ジュード小児研究病院は、こうした現状を変える大きな使命を帯びている」

「がんなどの生命に関わる病気を抱える子どもに希望を与えるため、我々も、野心的な資金調達目標を掲げることにした。あなたの寄付が、セント・ジュード小児研究病院による生命を救う取り組みを進め、我々が世界各地の子どもたちに明るい未来を届ける後押しになる」
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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