サムスン999ドルの折りたたみ式端末「Z Flip 3」が高評価の理由

サムスン「Z Flip 3」(c) Ben Sin

サムスンが2度に渡り改良を重ねたフォルダブル(折りたたみ式)端末のFlipシリーズの最新版の「Z Flip 3」が、注目を集めている。筆者の仲間のガジェットライターのほとんども、サイズが大きいFold 3よりもZ Flip 3を気に入っており、多くの消費者も同じ結論に達するはずだ。

仕事上の必要に迫られて、サムスンのフォルダブル端末を選ぶとしたら、画面が大きいFold 3の方が生産性が上がるかもしれないが、Z Flip 3の方が日常使いのモデルとしては楽しいものになるのは確実だ。

カバーディスプレイの大型化



(c) Ben Sin

サムスンの「Galaxy Z Fold 3」は、折りたたむとスマートフォンになる小型タブレットだが、「Z Flip 3」は、折りたたむと小さな財布やコースターとほぼ同じサイズになる約6.7インチの画面のスマートフォンだ。

Z Flipの最初の2つのバージョンは、外側のカバーディスプレイが小さく、表示可能な情報が少なかったため、閉じた状態では実用性に乏しい端末だった。しかし、今回のバージョンでは、カバーディスプレイの大きさが4倍になり、チャットの内容をすべて読むことが可能で、ウィジェットの利用も可能になっている。

そして何よりも素晴らしいのは、カバーディスプレイをカメラのビューファインダーとして使えることだ。ユーザーは、この画面を用いて画質が悪い自撮り用カメラではなく、メインカメラで自撮りを撮影できる。


(c) Ben Sin

つまり、外側のスクリーンの大型化が最大の改善点と言えるが、Z Flip 3はIPX8相当の防水性能を備えており、万が一、水に浸した場合でも30分までは耐えられる。折りたたみ式端末は、通常のスマホよりも壊れやすいイメージがあったが、これは非常に大きな改善点だ。

また、Z Flip 3の価格は999ドルからで、以前の2機種の1499ドルと比較すると大幅なコストダウンを実現した。

サムスンが前作と比べて「遜色のない」製品を提供しながら、50%ものコストダウンに成功したことは素晴らしいことだ。ただし、筆者はここで、「前モデルよりも優れている」のではなく、「前モデルに劣っていない」という慎重な表現を使いたい。


(c) Ben Sin

というのも、Z Flip 3では、前述のようにカバーディスプレイが改良され、プロセッサもSnapdragon 888にアップデートされているが、その他の多くのハードウェアが2020年のZ Flip 5Gと同じだからだ。例えば、RAMやメモリ、画面の解像度、ヒンジの素材、そしてカメラシステムまでもが昨年のモデルと同じだ。

その背景に、サムスンの「コストを抑えて999ドルという価格を実現する」という意思があったことは明確だ。サムスンは昨年の投資家説明会で、2021年のフォルダブル端末が、「よりメインストリームにアピールするものになる」と述べていた。

筆者のようなモバイル端末の愛好家にとって、Z Flip 3が前モデルのハードウェアを再利用していることはもちろん残念だが、サムスンは賢明なビジネス上の判断をしたと言えるだろう。折りたたみ式の端末の価格を米国で3桁台に抑えることは、米国の消費者にとって大きな意味を持つ。フォルダブルだからと言って、「普通の携帯電話」 よりも大幅に価格が高い訳ではないのだ。
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編集=上田裕資

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