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アドテク、企業、ベンチャーキャピタルやニューヨークのベンチャー企業について執筆するスタッフライター

(c) Near Space Labs

アルメニア共和国の首都エレバンで生まれ育ったレマ・マテヴォシャン(Rema Matevosyan)は、幼少期にアマチュア天文家の祖父母と夜中に天体観察を楽しんだという。彼女は現在、地理空間データのスタートアップ「Near Space Labs」のCEOを務めている。

Near Space Labsは、気象観測気球に取り付けた小型の自律ロボットを使って地理空間データを収集している。この装置は「Swifty」と呼ばれ、高度18kmから1000平方キロメートルの面積の画像を撮影可能という。

マテヴォシャンによると、この方法を用いたデータの収集は飛行機や衛星を使うよりも安く、二酸化炭素排出量も少ないという。また、顧客である保険会社や政府、災害復旧、自動運転車の事業者などにとって、Near Spaceのデータセットは、飛行機や衛星で取得するものと同等の価値があるという。

「競合他社が衛星コンステレーションを打ち上げる中、我々の手法は時代の流れに反している。しかし、我々の製品が急速に普及している状況を見れば、我々のデータに対するニーズが高いことは明らかだ」とマテヴォシャンは話す。

ブルックリンとバルセロナに拠点を持つNear Spaceは、これまでに150回の打ち上げを成功させている。同社は9月20日、Crosslink Capitalが主導し、トヨタ・ベンチャーズが参加したシリーズAラウンドで1300万ドル(約14億円)を調達し、累計調達額が1680万ドルに達したことを発表した。このラウンドには、既存株主のLeadout CapitalやWireframe Venturesも参加した。

同社は、米国で顧客基盤を拡大させるために12名以上の社員の採用を予定しており、2022年には500回以上の打ち上げを計画している。

3カ国語を話すことができるマテヴォシャンは、現在は新たにスペイン語を学んでいるという。彼女は、奨学金を得てモスクワで数学を学び、衛星間通信などの航空宇宙システムを研究をしているときに、Near Spaceの創業メンバーのIgnasi LluchとAlbert Caubetと出会った。現在、Lluchは同社でチーフ・テクノロジー・オフィサーを、Caubetはチーフ・エンジニアを務めている。

マテヴォシャンは、研究の一環として衛星の打ち上げを観察するため、真冬にロシアの僻地を訪れた。彼女はその時の経験から、数十億ドルを投じた衛星でも、特定の地域の地理空間データを取得することが不可能であることを確信したという。

編集=上田裕資

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