カイザーの調査によれば、ワクチン接種によって容易に防げた可能性のある新型コロナウイルス感染症による入院件数は、6月には3万2000件、7月には6万8000件、8月には18万7000件にのぼった。
これらの「防げた可能性のある入院」によって米国の医療制度が被った費用は、過去3カ月でおよそ57億ドルにのぼるとカイザーは推計している。この数字は、新型コロナウイルス感染症の平均入院費用をおよそ2万ドルとして算出したものだ。
ただし調査報告書は、「この概算では、成人のワクチン未接種者の感染に伴う、防げたはずの新型コロナウイルス感染症治療費負担が低く見積もられている可能性がある」と指摘している。その根拠として挙げられているのは、米国各地で治療費が大きく異なること、新型コロナウイルス感染症患者のうちワクチン未接種者が占める割合が「控えめに」推定されていること、治療費の平均費用は、概算に用いた2万ドルよりも大幅に高い可能性が複数の研究で示唆されていることだ(ある研究では、およそ4万2200ドルとされている)。
さらに調査報告書によれば、新型コロナウイルス感染症の外来での治療費は「相当な」額にのぼるが、その費用は分析に含めていないという。
カイザーの報告書によれば、患者が直接負担するのは「費用のごく一部」にすぎない。ワクチン未接種者の保険料引き上げを阻む法律が複数あることから、治療費負担はすべての人にのしかかるという。そのため、納税者の負担が増し、企業や労働者の保険料が上がるおそれがあると報告書は指摘している。