また、AP通信は、この旅行者と同じ飛行機に搭乗していたレマヌ・マウガ知事が現在、隔離中だと伝えている。
これにより、新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以降、世界保健機関(WHO)に感染者の確認を報告していない国・地域は、クック諸島やミクロネシア連邦、セントヘレナなど、残り12となった。
人口も訪れる旅行者も比較的少ないこれらの国・地域の多くは、厳格な入国・入境制限によって、感染者ゼロの状態を維持してきた。WHOによると、感染者が5人以下にとどまっているのは21日時点で、米領サモアのほか、サモア、バヌアツ、マーシャル諸島、パラオなど。
ただし、感染者が報告されていないことは必ずしも、陽性者がいないことを意味するものではないかもしれない。実際に感染者がゼロの可能性もある一方、検査が不十分である、ただ検出できていないだけ、といった理由のためとも考えられる。
いまだWHOに感染者を報告していない国のうち、人口が最も多いのは北朝鮮、次いでトルクメニスタンだ。両国ともに、感染者がゼロとされていることについては広く疑念が持たれており、政府が隠ぺいしているとの見方もある。
米ジョンズ・ホプキンス大学のデータでは、世界全体の感染者数は21日時点で、2億2900万人を超えている。
「ゼロコロナ」は可能か
米領サモアなど、これまで感染者ゼロを目指す「ゼロコロナ戦略」を掲げてきた国・地域の一部は、結局はウイルスが入り込むことを防ぎ切ることができず、対応に苦慮している。
フィジーはおよそ1年にわたり、目立った市中感染を報告せずにいた。だが、7月には世界で最も急激な速さで、感染者が急増した。また、変異したデルタ株が主流になって以降、多くの都市でロックダウン(都市封鎖)を実施してきたオーストラリアも、ゼロコロナ戦略を断念している。
マウガ知事は初の陽性者が確認された後に発表した声明で、今回の例により、「感染拡大を防ぐためのこれまでの検疫手続き、そしてその継続の重要性が明確になった」と指摘。同州が行ってきた入境制限が、有効であったことを示すものだと述べている。