「自動運転宅配」の実現目指すウォルマートとアルゴAIの野望

(C)Argo AI

フォードとアルゴAIは、2017年にマイアミでウォルマートやドミノ・ピザ、配車サービスの「リフト」らと共同で自動運転車の実証実験を行うと発表した。アルゴAIは、8月にリフトとのロボットタクシーの実験をテキサス州オースティンとマイアミで開始すると発表していた。

ウォルマートはさらに、今年後半にアルゴAIの自動運転技術を搭載したフォードの車両を用いたデリバリーの実験を、オースティン、マイアミ、ワシントンDCで開始する。

ウォルマートは、小売大手の中でも自動運転企業との提携に最も積極的な企業の1社だ。同社は、アリゾナ州ではウェイモとクルーズと組み、ラストマイル配送の実証実験を行っており、今年初めにはクルーズに出資していた。同社はGatik(ガティック)とも提携しており、アーカンソー州とルイジアナ州で物流拠点から店舗までのミドルマイル配送を行っている。

ウォルマートにとって、アルゴAIとフォードとの取組みは、消費者に直接商品を届けるラストマイル配送を複数都市で行う初めての事例だ。同社は、配送用の自動運転車の配備に向けて、発注プラットフォームをアルゴAIのクラウドの「ArgoWatch」に統合する。

このシステムは、乗客や物品を運ぶ商用車向けのプラットフォームと簡単に統合できることを目的に開発された。事業を成功させる鍵は、車両の稼働を最大化させることにある。

同じ車両で乗客の輸送とデリバリーを実施


アルゴAIは、リフトとウォルマートとの実験に同じフリートを使う予定だ。このため、フォードの自動運転車両が乗客を降ろした後、近くのウォルマートに移動して荷物を配達することが考えられる。

アルゴAIとフォードは過去4年間の実証実験で自動運転車を使ったビジネスのノウハウを蓄積してきた。両社は、自動運転車の利用状況データを使って最大の需要が見込まれる場所や時間帯に車両を予め配備し、待ち時間を最小化させることを学んだという。

アルゴAIで戦略と事業開発を担当するバイスプレジデントのCynthia Kwonによると、同社とフォードは、マイアミや他の都市で地元企業と協業し、配達のテストを行っているという。Kwonは具体的なタイムラインを明らかにせず、「段階的なローンチになる」と述べた。

アルゴAIは、自動運転車のラストマイル配送以外の用途も検討している。Gatikのように、店舗と物流拠点を結ぶミドルマイル配送も自動運転企業にとって主要な市場だ。フォードの商用車である「トランジット」と「トランジット・コネクト」はミドルマイル配送に適しており、今後の自動運転化の候補になりそうだ。

編集=上田裕資

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