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2021.09.21

インドネシアで通信業界再編、ハチソン主導で5G投資活発化へ

香港のビリオネアの李嘉誠(Getty Images)

香港のビリオネアの李嘉誠が率いるCKハチソン(長江和記実業)は、インドネシアのデジタル化を促進するために、60億ドルを投じてインドネシアの通信子会社「ハチソン3インドネシア」を同国の通信最大手「インドサット」と統合すると発表した。

ハチソン3インドネシアは、カタールの通信事業者オレドー(Ooredoo)の関連会社でジャカルタ市場に上場するインドサットに60億ドル(約6600億円)を支払い、「インドサット・オレドー・ハチソン」と呼ばれる事業体を設立する。9月16日に両社が発表した。

インドサット・オレドー・ハチソンの年間売上高は約30億ドルとなる見通しで、同社はインドネシアで2位のモバイル通信事業者となる。この取引は、株主や規制当局の承認を得た上で、今年末までに完了する予定だ。

CKハチソンのCanning Fokは、「インドサット・オレドー・ハチソンは、インドネシア政府のデジタル・アジェンダを支援し、顧客とインドネシア全体に利益をもたらすこになる」と述べた。

また、オレドーのAziz Aluthman Fakhrooは、「この合併により、インドネシアのデジタルトランスフォーメーションを加速し、ネットワークパフォーマンスと顧客体験を向上させるための企業が誕生する」と述べている。

格付け企業のフィッチ・レーティングスは、今回の合併が協議段階だった5月に発表したレポートで、2社の組み合わせが、混戦状態にあるインドネシアの通信分野の規模の拡大につながると述べ、「小規模な通信会社が5Gの投資コストを吸収することは困難だ」と指摘していた。

インドサット・オレドー・ハチソンはインドネシア証券取引所に上場する企業となる。同社の65.6%の株式は、CKハチソンとオレドーが合同で出資する持ち株会社が所有し、インドネシア政府が9.6%を保有する。

この合併は、CKハチソンによる通信分野での最新の取引だ。同社は昨年11月に、欧州の無線タワー事業をスペインのセルネックス・テレコムに100億ユーロで売却する交渉を進めていると発表した。

通信分野以外でも、CKハチソンは金融、インフラ、港湾、小売などの事業を展開している。李嘉誠は2018年に、CKハチソンと不動産開発会社CKアセットの会長を退任したが、現在もシニアアドバイザーを務めている。現在93歳の李の保有資産は354億ドルで、今年の香港の長者ランキングでトップに入っていた。

編集=上田裕資

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