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2021.09.21 11:00

21年上半期は150億ドル、加熱する「宇宙投資」とVCマネーの行方

(c) SpaceX


アスパロホフと共にVardaを設立したCEOのウィル・ブルーイ(Will Bruey)は、彼らのビジネスモデルが、宇宙旅行が本格的に始まる前に、宇宙をマネタイズ出来ると考えている。

2020年設立のVardaのシリーズAには、ディープテック領域に特化したベンチャーキャピタルのLux Capitalに加え、コースラベンチャーズやゼネラルカタリストらが参加した。

サービスとしての人工衛星


投資家たちが期待するもう一つの領域が、人工衛星だ。Space Capitalのデータによると人工衛星は、宇宙分野でロケットに次いで2番目に多くの資金を獲得しており、2021年第2四半期だけで19億ドルの投資を集めていた。低コストで打ち上げ可能な小型で安価な人工衛星の開発が進んだことで、既存企業による新たな衛星の活用や、サービスが生まれている。

この領域では、衛星を活用した燃料補給基地や修理ロボット、衛星タクシーサービスなどが想定される。スペースXも衛星の製造技術を向上させており、ロケットラボやサンフランシスコに拠点を置く「ロフト・オービタル」などの企業は、「サービスとしての人工衛星(satellites-as-a-service)」と呼ばれるビジネスモデルを提示している。この分野においても、アスパロホフは今後のさらなるイノベーションを予測している。

この記事で紹介してきた企業の多くは、ブルーオリジンやスペースXの元エンジニアが創業に関わっている。STOKE社の共同創業者のラプサは、元ブルーオリジンのエンジンの開発者で、VardaのCEOのブルーイは元スペースXの宇宙船オペレーターだ。

彼らは、ペイパルやフェイスブックの創業メンバーが、ソフトウェアサービス企業のAsanaや防衛企業のパランティアを生み出したように、宇宙ビジネスの新たな流れを起こそうとしている。

「多くの人が自分の会社を立ち上げたいと思っている」と、Lux Capitalの共同設立者のジョシュ・ウルフは話す。「特にスペースXの出身者たちは、豊富なコネクションを持つため、新たな会社を立ち上げやすい」

投資家たちは、イーロン・マスクが語る小惑星の採掘による宇宙資源開発や、火星の植民地化が、まだ現実離れしたアイデアであることを承知している。しかし、1960年代の宇宙開発競争の始動から60年が経過した今、新たなイノベーションの波が投資家や起業家を魅了しているのは確かだ。

「宇宙ビジネスのエコシステム全体が徐々に進化している。もしあなたが今日眠りについて、10~12年後に目覚めたとしたら、驚くほどの進歩が達成されたことに畏敬の念を抱くことだろう」と、Lux Capitalのウルフは語った。

編集=上田裕資

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