今では世界700万人のランナーが愛用するグローバルブランドに成長したOnは、パンデミックの中で売上を急増させ、2020年に前年比59%増の4億2500万ドルの収益を達成した。さらに、2021年上半期の収益は、前年同期比85%増の3億4300万ドル(約377億円)に伸びている。
Onの時価総額は、15日のIPO当日に100億ドルを突破し、アレマンとベルンハルド、そしてキャスパー・コペッティの3人の共同創業者の保有資産は、合計18億ドルに達した。
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Onのシューズの人気の背景には「ソフトな着地と爆発的な蹴り出し」という基本コンセプトが、スイス出身のテニス界のスーパスター、ロジャー・フェデラーの目に留まったことが挙げられる。
「スイスは小さな国だ」とアレマンは言う。ある時、彼らとディナーを共にしたフェデラーは、その席上で、「私はOnのシューズの大ファンだ」と話した。アレマンはすかさず、「一緒に会社を運営してみないか」と持ちかけ、フェデラーはその後、Onに出資し、プロテニスシューズの開発に参加した。
フェデラーにとって、Onとの取り組みは、パンデミックの中で空いた時間を過ごすための最適な方法になったという。彼はフォーブスの取材に「この素晴らしい会社が、私の住む場所の近くにあって、とても幸運だった。この1年半は家にいることが多かったため、彼らと仕事をする時間は十分にあった」と語った。
Onは2019年にフェデラーから金額非公開の出資を受けたことを発表している。スポーツ関連メディアのSporticoは、フェデラーがOnの株式の3%を保有し、その価値を約3億ドルと試算している。