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デジタルをテコとした成長戦略

日本企業とスタートアップの提携に時間がかかる理由とは/photo by shutterstock

前回(「戦争論もドラッカーも古くない。デジタル時代こそ古典ビジネス論へ」)はデジタル時代にこそ脚光を浴びる古典戦略論について解説しました。今回は、デジタル時代の申し子であるスタートアップの生態をあきらかにし、海外大手と比較すると成功事例が少ない日本の大企業とスタートアップとの共創、イノベーションのための要諦をお伝えしたいと思います。

何かご一緒できたら──、はもういらない


「オープンイノベーション」の名の下、潤沢な経営リソースや顧客基盤を持つ大企業と、野心的なアイデアや機動力を武器に世界に打って出ようとするスタートアップが手を組む事例が増えています。

しかし、筆者が米国シリコンバレーやアイルランドのダブリン、直近では中国の深圳のスタートアップ経営者やベンチャーキャピタルの担当者と話すと、「日本の大手企業とのアライアンスは工数が非常にかかる」という声をよく耳にします。さらにある経営者から先日、「日本企業を専門にアライアンスを担当する日本人を配置した」と連絡をもらいました。「決裁権を持つ方が具体的な提案をしてくれたら即決できるが、『何かご一緒できたら』というレベルの話があまりにも多く、それらの案件に自分の時間をさけない」と話していました。

日本企業とのアライアンスは工数がかかるため効率が悪い一方で、日本の市場や企業が持つ基盤は魅力的で捨てがたい、というのが専門担当者の設置の背景でしょう。

ではなぜ日本の大手企業とスタートアップのアライアンスは時間がかかるのでしょうか。海外企業との差はどこにあるのでしょうか。海外スタートアップや日本企業の経営者と議論するなかで、大きく2つ課題が見えてきました。

国内企業の課題:1
日本企業はスタートアップを甘く見ている


1つ目の課題は、日本企業のスタートアップに対する理解の甘さです。スタートアップとアライアンスを結ぶうえで理解すべき特徴は3つあります。

(1)スピードの速さ

これは言わずもがな最大の武器で、この点は理解も進んでいるでしょう。

(2)スケール

スタートアップがスケールを持っているというのは不思議に思うかもしれませんが、非常に重要な点です。

Amazon、Google、Teslaの成長の過程を思い起こしてみてください。名もなきガレージカンパニーにすぎなかった彼らは、この20年の間に業界構造を激変させ、世界を動かすグローバル企業へと変貌を遂げました。

もちろん数あるスタートアップのなかでもユニコーンに至るのはほんの一握りにすぎません。志半ばで敗退するスタートアップは数知れませんが、そもそもスタートアップを生み出すエコシステムは「多産多死」を前提として成立しており、国内の大手企業と対峙する企業は成功の道を歩み始めている企業がほとんどです。

文=中村健太郎(アクセンチュア)

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