ビジネス

2021.09.18

日本文化にハマった香港人がコロナ禍の日本で始めたビジネスとは?




なぜ今、瞑想なのか?


──キャンピングカーに畳を敷くにあたり、工夫したところは?

畳を車内にデザインしたキャンピングカー「浮雲(ふううん)」は禅の精神を取り入れ、動く和室、茶室、ホームオフィスなどとして使用できる新しい乗車体験が可能です。車内は、設備の配置を換えることで四畳半の畳敷き和室や、昇降式テーブルを囲む座席に変身させることができます。プロジェクターやホワイトボードなどもあるので会議室にもなります。

家族や友人とのキャンプ、企業のブレーンストーミングやプレゼンテーション、茶会、POP UP STOREなど、様々なシーンで上質な空間を提供します。これまでキャンピングカーのスタイルはアメリカ由来のものばかりだったので、日本では日本のスタイル・文化を取り入れても良いのではと考えました。

──現在、実際にどのように使われていますか?

浮雲は都会と自然を繋ぎ人々が縦横無尽に動き、働き、生きることを実現しています。実際にお茶会や家族旅行、移動座禅会が行われて、移動しながら人々は共同の体験をして楽しんでいます。使った人からは「普段動かずにすることを移動しながらすると、想像以上の楽しさがあった」と好評です。

また椅子の座り心地を改善したりと常にバージョンアップもおこなっています。現状のサイズより小さいSサイズとMサイズの「浮雲」ももうすぐ貸出しできるようになるので、より体験の幅が広がるはずです。



──この浮雲で目指すビジョンは?

機能としては電気自動車化・自動運転化もいずれ実現させたく、パートナーになれる企業と話し合いをしている段階です。現在は富士宮市だけでサービス提供していますが、日本の色々な場所でもサービス展開していきたいですね。人々には、自由自在に移動する生活の中で「FUN」(楽しさ)を生活の中に見出して欲しいです。物や情報に溢れた生活から離れ「浮雲」の中で生活し瞑想をすることで本当にやりたいことや自身・家族の幸せについて改めて考えることができるのではないでしょうか。

また、日本では地方で働き手や医者が足りないなどの地域問題が深刻化しています。浮雲でならそうした地方を周りつつ、働くことが可能です。いきなり地方に移住するのは覚悟が必要ですが、一時的にでも人材が働きに行けて、そこで仲間を作ったり家族を遊ばせたりすることでつながりを作るといったことができます。それは禅の「遊行」ではないかと思います。浮雲がそうした社会問題を解決する一助になれば嬉しい限りです。ぜひ多くの人に使ってもらい、サービスをより良いものにしていくことに挑戦したいです。





廖醇祖◎雲云CEO。香港出身。UCLAにてデザインメディアアートの学位を取得後、ハーバード大学院にて建築の修士課程を卒業。米国にて4年ほど都市設計ソフトウェアのデザインエンジニアとして従事。2016年、香港にてテクノロジーベンチャー「SLEEEP」を立ち上げ、香港初となるカプセルステイを経営。上質な睡眠と多拠点生活を支援する。2020年、日本へ渡り雲云を設立。モバイルカプセルとしてキャンピングカー“FUUUN”を制作。現在は「EXP.」名義のグループにて、SLEEEPやFUUUN、その他のプロジェクトにおいてボーダーレスに活躍する。

文=田野早希子

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