Close RECOMMEND

Forbes JAPAN Web編集部


目標は10年で300億円の貢献


中川はまた、奈良の街を盛り上げるために、2020年に奈良のスモールビジネスを対象とした支援プロジェクト「N.PARK PROJECT」をスタートさせた。

コンサルティング業務を通じて痛感してきた「中小企業に社長はいるが、経営者はいない」という日本の現状。それを変えるために日本各地で行ってきた講演や「経営とブランディング講座」などの教育事業の経験を活かす形だ。「鹿猿狐ビルヂング」開業後は、施設内のコワーキングスペース「JIRIN」をその拠点としている。

「N.PARK PROJECT」のコンセプトは、“学びの型”と“一歩踏み出す勇気”。「学びの型とは、プロジェクトベースドラーニングのような、いかに上手に学ぶかという“学習学”をベースにした方法論です。経営は学ばなければうまくなりませんが、学ぶ力が身につけばどんどん伸びていきます」と中川は話す。

実際に、本プロジェクトでサポートしたカレー店「菩薩咖喱」(奈良市)のオーナーは、コロナ禍にもかかわらずオープン初年度で単年黒字となった。「26歳で脱サラした方で、当時は経営の素養がまったくなかったんです。でも10時間ほどレクチャーした結果、驚くほど成長しました」

他にも、大学生が起業に挑戦したラーメン屋「すするか、すすらんか。」(奈良市)など、あえてバックボーンを持たない案件をサポートしている。その理由は、「自分にもできるかも」と一歩踏み出す勇気を誘発する空気を醸成するためだ。

「ちゃんとやれば、生き残る道はあるんです」

2021年7月には、奈良で起業を志す人材を発掘するプログラム「SMALL BUSINESS LABO」のビジネスピッチもスタートした。「誰からも手が挙がらないのでは」という予想に反して12件もの応募があり、奈良の街を変える空気は確かに生まれ始めている。

「いろいろな感性のオーナーが奈良に素敵なお店を開いてくれたら何より楽しいし、応援していきたいと思っています」

中川が目標とするのは、10年で奈良県の県内総生産(3兆6000億円)を10%(3600億円)上げること。「その1割程度である約300億円を中川政七商店が担いたい。そのために、既存事業はもちろん、スモールビジネスや起業家支援も含めたコンサルティング事業なども拡大して収益を上げていきます」と先を見据えている。

文=国分美由紀 取材・編集=田中友梨

ルーツの未来−起業家と企業の挑戦−
VOL.1

「地方だから」と諦めない。SHIROがまちづくり...

VOL.3

「前橋市に光を」ジンズ田中CEOの起業家精神に...

PICK UP

あなたにおすすめ