AIトレーニングが、気が遠くなりそうなほど厄介なものになることがあるのは確かだ。その原因は、トピックの数の多さと、コンセプトの複雑さにある。したがって、基本的なトピックから始めるほうがいいかもしれない。
「統計のコースはとても役に立ちます」と指摘するのは、アッペン(Appen)の最高技術責任者(CTO)、ウィルソン・パン(Wilson Pang)だ。「(統計のコースは、)従業員が、データ解釈の仕方やデータ解読方法を理解するのに役立ちます。それにより、企業がデータに基づく決断を下すための態勢が整います」
また、AIが道を踏み外す可能性についても教える必要もある。「倫理に関するトレーニングが必要です」と、ボーズの主席データサイエンティストを務めるアスウィニ・ソータ(Aswini Thota)は話す。「バイアスのかかった悪質なデータは、AIシステムに伴う問題を悪化させるだけです」
効果的なAIとは、その多くがチームスポーツのようなものだ。したがって、組織の全員が本格的に参加する必要がある。
「AI導入の加速は避けられません──実際に気づいていようがいまいが、私たちのほとんどは、日々AIを体験しています」と述べるのは、ライブパーソンのアレックス・スピネッリ(Alex Spinelli)CTOだ。「経済は、AIの影響を受ける職務にますます依存するようになっています。そうしたなかで、従業員のAI教育を実施する企業が増えれば、従業員が最先端にとどまるチャンスが広がります。AIの理解と管理に関して時代を先取りする労働力の育成には、会社全体の効率と生産性を高めるうえで、きわめて大きな価値があるのです」