遠隔医療を活用の従業員 4分の3がコロナ収束後も継続の意思

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米国ではいまだに多くの人が遠隔勤務をしているが、オフィス勤務が再開される中でも人々は遠隔で医師の診察を受ける方法を模索している。

従業員の福利厚生に関するコンサルティング企業マーサー(Mercer)の新たな報告書からは「新型コロナウイルス感染症の流行中に初めて遠隔医療を活用した従業員は5分の1で、別の23%は遠隔医療の活用が増えていた」ことが示された。従業員の4分の3(75%)は遠隔医療を活用したことがあり、その大半が今後も遠隔医療を利用し続ける予定だ。

マーサーの今年の報告書「Health on Demand(オンデマンドの健康)」は、世界中の約1万4000人の労働者から回答を集めたものだ。同報告書は、新型コロナウイルス感染症のデルタ株が米国で急増し、多くの人のオフィス復帰が遅れる中で発表された。 

新型コロナウイルスが流行を始め、遠隔勤務への移行が促された2020年3月から18カ月たった今秋にオフィスの再開を計画していた一部の企業は、今でも従業員の在宅勤務を続けている。以前のマーサーの調査では、まだ従業員をオフィス復帰させていない雇用主の大半(59%)が、9月末までに従業員を職場に戻すことを計画していることが分かった。しかし多くの労働者は、安全なオフィス復帰についていまだに懸念を抱いている。

マーサーのマルティーヌ・ファーランド最高経営責任者(CEO)は「バーチャルな働き方やビジネスのやり方への移行が継続する中、従業員がこうした効率性を医療にも求めるのは自然なことだ」と述べた。「コンピューター上で提供される医療が増え、従業員がデジタル医療のソリューションにより高い価値を置く中、医療の従来の利用方法に焦点を当てた福利厚生制度は時代遅れになりつつある」 

大半の医療保険会社は遠隔医療を補償しているし、バーチャル医療への投資を増やしている医療提供者や医療保険は多い。

例えば、米医療保険大手シグナの医療サービス企業エバーノース(Evernorth)は今年、遠隔医療を提供する米MDライブ(MDLive)を買収している。また、米医療保険会社ユナイテッドヘルス・グループの子会社で医療サービスを提供するオプタムは、バーチャルケア事業を立ち上げ、専門医療提供者やサービスを増やして米国全土に遠隔医療を拡大している。

マーサーの報告書からは、新型コロナウイルスの流行中に初めて遠隔医療を試した人を含めて従業員の72%が遠隔医療の活用を「今後も続ける」としていることから、遠隔医療には投資の価値があることが示されている。 

「過去の状態に戻ることはできない」とファーランド。「バーチャル医療を活用することで、医療の利用しやすさや手頃さ、質が改善するのは明らかだ」

翻訳・編集=出田静

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