美咲氏は実は、BeChefを利用して初期費用なしの起業を体験したのち、次なるステップとして夫婦で「キッチンカー」での起業準備中だ。
キッチンカーの屋号、「il pleut」はフランス語で「雨が降っている」という意味。「晴れた日をもっとよく思わせてくれるのはきっと雨の日のおかげ、雨がやむのをのんびり待って晴れた日を一緒に喜べる、そんな居場所でありたい」という思いを込めたそうだ。
美咲氏がBeChef利用中、ビストロで料理人として働いていた夫の友哉氏は次のように話す。
「BeChefで起業を経験した上で、実店舗を数年後に立ち上げようと、妻と話していました。だが、そのタイミングで新型コロナが到来。飲食店で仕事をしていた僕は、あからさまに客足が遠のくのを目撃したんです。お客様が来ない中で『ただ待っている』のではなく、お客様のもとにこちらから動く。メッセージを発信、宣伝広告しながら作り手側から訪ねていく。そんなことを考え、キッチンカーという答えにたどりついた」
10月あたりから開店の予定、ブランチから夕方4時くらいまで営業するという。
「10時から2時、3時くらいまでは僕の料理で。『フランス産鴨肉のクロックマダム』『サバカツサンド』『羊のソーセージホットドッグ風』『スモークサーモンとアボカド クリームチーズのタルティーヌ』などを出す予定です。テイクアウトですが、その場でも食べられるように椅子なども用意する予定です。
友哉氏が「il pleut(イルプル)」で提供する予定のメニューから、「クロックマダム」
そして、2時、3時ごろ、甘いものが食べたくなる時間帯に妻とバトンタッチ、キャロットケーキや季節の焼き菓子にメニューを切り替え、僕は会計やサービスに回ります」
車を停める場所としては、コロナで増えてきた、キッチンカーを集めた「フードマルシェ」のようなスペースも利用する予定だ。3年くらいを目標に店舗を開きたい、という。
融資審査の「創業計画書」にも、BeChefでの起業履歴が書けた
美咲氏は、BeChef利用時を次のように振り返る。
「BeChefで同時期にシェアしていた入居者には主婦で、お弁当を作って打っている方もいました。また、イートインの店舗を持っている方がお味噌汁を販売されていたり、さまざまでしたね。みなさんとも関わり、お客さんの反応なども見ながら、手探りで『起業の訓練』が出来たと思っています。ビジネスの厳しさはもちろんありましたが、ある意味学校での学習体験にも似ていたかもしれません。
イートインに関しては、BeChefさん側が接客サポートをしてくれたので、助かりました。『誰かが力を貸してくれている』と思えることが、精神的にも支えになりました。作っても、知ってもらわないと売れない。主婦の方が、『やっぱりプロは厳しい』としみじみおっしゃっていたのもその点でした。
BeChefではその方と、商品の見た目について意見交換をしたり、交換試食をしたり、宣伝、マーケティングの部分が難しいけれど、そこが肝だね、と悩みを話し合い、宣伝の方法のアイディアを出し合ったりできたのが、とてもよかったです」