電子タバコメーカーは、2016年にFDAが規制権限を持つまで、ほとんど規制されてこなかった。
公共ラジオNPRが報じたところによると、FDAは、2019年の裁判所命令に基づき、500社余りが提出した電子タバコ製品650万件分の申請書を審査し、新たな製品の販売を認可するか、またJUULを含む多くの既存製品に販売継続させるかを、9月9日までに判断することになっていた。
FDAのジャネット・ウッドコック長官代行と、FDAタバコ製品センターのミッチ・ゼラー(Mitch Zeller)所長は9月9日付で、同日までに、申請された製品の93%について審査を完了したと発表している。
FDAは、450万件の製品について、申請の不備を理由に販売を認めなかった。さらに、94万6000件の製品については、成人が従来のタバコから切り替えるという潜在的な利益よりも、10代の若者を引き寄せるリスクの方が高いという理由で、不認可または販売停止とした。
ニュースサイト「ポリティコ」によると、FDAは、数百万件の製品をはねつけた一方で、電子タバコのトップブランドであるJUUL、Vuse(ビューズ)、NJOY(エンジョイ)については判断を下していない。FDAの広報担当者がForbesに語ったところによると、FDAはJUULの申請内容をまだ審査中だという。
米疾病予防管理センター(CDC)によると、2020年に調査した高校生のうち約20%が、過去1カ月間に少なくとも1回電子タバコを使用したことがあると答えた。また、2018年の調査では、18~24歳のうち約8%が電子タバコを使用しており、成人では最も使用率の高い年齢層となった。いずれのグループも、使用者には、ニコチンが脳の発達に悪影響をもたらすリスクがある。
ジョージタウン大学ロースクールのタバコ規制専門家エリック・リンドブロム(Eric Lindblom)はニューヨーク・タイムズ紙に、「FDAにはもう少し期待していた」と述べている。「FDAは、いまだに厳しい判断を下していない」
一方、ペンシルベニア州立大学でタバコ依存症の研究と治療を行うジョナサン・フォウルズ(Jonathan Foulds)はAP通信に対し、「これをきっかけに、特に従来のタバコに対する扱いと比較した際の、電子タバコに対する過度に厳しい規制が始まるのではないかと懸念している」と話す。「電子タバコなどの有害性を減らした製品は、従来のタバコをはるかに危険の少ない製品に置き換える素晴らしい機会を提供している」
なお、調査会社スタティスタのデータによると、電子タバコ市場において、2020年のJUULとVuseを合わせたシェアは78%に達する。
FDAが今回審査することになった650万件の製品には、すべての電子タバコ製品が含まれているわけではなく、FDAに認可を申請した製品のみとなる。2019年12月、当時のドナルド・トランプ米大統領は、タバコを購入できる年齢を18歳から21歳に引き上げる法案に署名した。FDAはその翌月、JUULをはじめとするメーカーに対し、電子タバコの中でも特に未成年に人気の高い、フレーバー付きカートリッジ製品のほぼすべての販売を事実上禁止した。
この変更により、ティーンエイジャーにおける「ベーピング(電子タバコを使う吸引)」は急減しているようだ。CDCの調査によると、2019年には高校生の28%が「過去30日間に電子タバコ製品を使用した」と答えたが、2020年はその割合は20%にとどまった。