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2021.09.16

詐欺会社セラノスの「火の車」の実態、週に2億円以上の損失

セラノス創業者 エリザベス・ホームズ(Ethan Swope/Getty Images)

詐欺事件で注目を集める米医療ベンチャー、セラノス(Theranos)の元経理担当者は、創業者のエリザベス・ホームズが投資家たちに同社を売り込む一方で、巨額の損失を生み出し続けていたことを9月14日の法廷で証言した。

リーガルニュースサイトのLaw360とCNNの記者が伝えたセラノスの元経理担当者ソ・ハン・スパイビーの証言は、秘密主義で知られた同社の財務内容を、これまでで最も詳細に明かしている。

スパイビーによると、セラノスは2010年に1620万ドル、2011年に2770万ドル、2012年に5700万ドル、2013年に9200万ドルの純損失を計上していた。同社の2012年と2013年の収益はゼロで、創業2年目には週に約200万ドルの資金を燃焼させ続け、2014年末には3億7600万ドル(約410億円)の累積赤字を抱えていた模様だ。

スパイビーが提出した書類によると、セラノスは2014年から2015年にかけて6回に分けて未公開株を発行し、投資家は同社が発行した5億3000万株に対し、9億4400万ドル以上を支払っていたという。

セラノスは巨額の損失を積み重ねていたが、ホームズは2014年に同社のプロバイダーの1社であるアルカナに嘘の財務予測を提示し、2013年末までに5000万ドル、2014年末までに9000万ドル、2015年末までに1億1200万ドルの収益が見込めると述べていた。

連邦検事のロバート・リーチは、セラノスの2015年の税務申告書を法廷で開示し、同社のその年の収益が42万9000ドルで、2003年の設立時から5億8500万ドルの累積赤字を抱えていたことを明らかにした。

スパイビーによると、ホームズの2010年から2014年にかけての年間給与は20万ドルで、2015年に40万ドルに引き上げられていた。

検察当局は、ホームズが収益予測とテクノロジーを誇張して投資家を欺いたと述べている。ロバート・リーチ連邦検事は、先週の冒頭陳述でホームズの誇張が、週に100万ドルから200万ドル(約2億2000万円)の損失を生み出す深刻な財務上の危機に直面した結果だと述べていた。一方で、ホームズの弁護団は、若い起業家であるホームズが、故意に誇張を行ったのではなく、ビジネス上のミスを犯したと主張している。

「エリザベス・ホームズは毎日、嘘をついたり、騙したり盗みを働いたりするつもりでオフィスで働いていたわけではない」とホームズの弁護人のランス・ウェイドは14日の法廷で主張した。

現在37歳のホームズは、2010年から2016年にかけて、当時恋愛関係にあったセラノスの元COOのラメッシュ・バルワニと共に、投資家や医師、患者を騙す計画に関与した疑いで、合計12件の罪に問われている。有罪が確定した場合、彼女は最高20年の懲役と25万ドルの罰金に直面することになる。

ホームズとバルワニはともに無罪を主張し、別々に裁判を受けている。バルワニの裁判は2022年1月に開始される予定だ。

編集=上田裕資

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