気候テック、バイオ、分散型ネットがカンブリア爆発期に入ろうとしているワケ

Coral Capitalでは、投資を特定のセクターに限定していません。優れた起業家ならば、私たちよりも的確に未来を予想できる上に、その新しい未来を自ら切り拓くこともできるという考えから、ジェネラリストな投資方針を心がけています。実際、私たちはSaaSから宇宙用ロボット、バーチャルヒューマン、美容系アプリまで幅広く投資していて、これからも広い視野を持って投資し続けます。

とはいえ、私たち自身も常日頃から情報収集や研究に努めています。様々なマーケットについて研究し、未来について考察することで、起業家との面談の際にスムーズに話や理解が進むよう準備しています。

特に最近でいえば、先日クローズしたCoralの3号ファンドに関連して、これからの10年でどのカテゴリーが最も重要になるかについて、私もより深く考えるようになりました。その中で、以下の3つのカテゴリーが浮かび上がってきました。

気候テック


前にも記事で取り上げましたが、「Climate Tech(気候テック)」と言う新しい呼び名のもと、クリーンテックのブームが再燃しています。以前は、気候変動について取り上げられることがあっても、日常での影響が感じられないのですぐに忘れられてしまっていましたが、今回は違います。

状況は変わり、観測史上最も暖かかった10年のうち、8年が直近10年間で記録されるという事態になっているのです。その結果、干ばつや山火事、ハリケーンなどが増え、経済的にも人命的にも多大な被害を及ぼしています。

この異変に応じて、多くの国が「カーボンゼロ」を国の最重要課題の1つとして掲げるようになりました。EUや米国、日本は2050年までにカーボンゼロを達成すると宣言していて、中国も2060年までの達成を目指すと発表しています。世界中で、気候変動という人類の存続に関わるリスクに対して、ようやく本格的に取り組むようになってきているのです。

また、このカテゴリーに対してより多くの資金が集まるようになっているという点でも以前とは違います。しかも、VCだけではなく、様々なカテゴリーの投資家たちが興味を示していて、特にESGやSDG関連の投資方針を掲げている投資家の間でその傾向が顕著です。

状況を打破するためのイノベーションを実現するには、豊富な資金源がどうしても必要な場合が多いので、この資金面での変化は非常に重要です。ロボティックスやIoT、エネルギー、材料工学、AIなどをはじめとした多くの分野に対して、この先数年で多額の投資が必要になるでしょう。

人類史上最大とも言える課題ですが、世界中から資金とトップレベルの人材が集まり、集中的に取り組めば、カンブリア爆発のごとく多くのイノベーションが生まれることは確実です。
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文=James Riney

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