気候テック、バイオ、分散型ネットがカンブリア爆発期に入ろうとしているワケ


バイオインフォマティクス


ソフトウェアとバイオの融合から生まれるポテンシャルや人類にとっての可能性については、まだほんの一部分しか解明が進んでいません。

例えば、モデルナ社やビオンテック社が開発したあの画期的なmRNAワクチンですら、その1つにしか過ぎません。モデルナ社は、なんとウイルスの遺伝子情報を解析してから48時間もたたないうちに、ワクチンの完成バージョンの設計にまでたどりついています。しかも、実際のサンプルを入手する前に、ウイルスのデジタルコピーだけを使って完全にコンピューター上で完成させたというのです。

このとてつもないイノベーションは、バイオや医療の世界に様々な副次的な影響をもたらすでしょう。

mRNAワクチンは、安全で効果的であることが証明されました。そのためのインフラや配布手段もすでに整っています。このようにパンデミックをきっかけに確立されたmRNAテクノロジーを今後、様々な病気に対して応用すれば、数多くの人命を救える可能性があります。

例えるなら、医療やバイオ界のいわばAndroidやiOSのような存在になり、様々な疾患に対して何千種類もの応用や、ひょっとすると人類の能力を強化するような技術の発展にもつながるかもしれないのです。

中央集権型から分散型のインターネットへ


​​現在のインターネットは、様々な根本的な問題を抱えています。まず、中央集権的な組織に管理されている点が挙げられます。これは中国や北朝鮮などの国家が行なっている場合と、FacebookやTwitter、Tencentなどのプラットフォーム系企業が行なっている場合の両方があります。

集権的な管理体制は、市民やユーザーの同意なく規制の変更などを強制し、内容の検閲や過剰な課税(もしくは利用料金など)を可能にしてしまっています。また、プラットフォーム系企業であっても国家であっても、集権的な権力を十分に確立したと判断した途端、以前の確約やユーザーとの同意をひっくり返す例を私たちは過去に見てきました。

情報やプライバシーの取り扱いでも問題があります。上に述べたような国家もしくは民間の「管理者」は、インターネットを介していまだかつてないほど膨大な量の情報を収集し続けています。このように限られた場所に集約された個人情報は、ハッカーなどにとって格好の標的です。

これから「Web3.0」の時代に突入し、インターネットの分散化が進めば、これらの問題のうちいくつかは改善されるでしょう。

新しく作られるプラットフォームでは、基礎となるコードが一般公開され、参加者がその編集や投票を通して選んだものをプラットフォームの絶対的なルールに設定できるようになります。

また、分散化の結果、サードパーティーによる仲介や、それに伴う利用料などの発生がなくなれば、ユーザーやサービスプロバイダの両方にとって良い変化をもたらします。

さらに、システム全体を横断するようなハッキングのリスクを軽減もしくは完全になくすことも可能かもしれません。

私たちは現在、人類史上最も面白い時代を生きているかもしれません。様々な革新的技術の実現が近づき、これまでになく市場に資金が集まる中、これからの10年は、過去の10年よりさらに加速したペースでテクノロジーや科学の発展が進むと私は予想しています。そして、これまでもそうであったように、起業家や技術者などの「作る人たち」がその変革の最先端で活躍することになるでしょう。

連載:VCのインサイト
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文=James Riney

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