ビジネス

2021.09.16 17:00

これは、スーパーマーケット版Uberだ。15億ドル稼いだ青年社長が読む「コロナ後」

インスタカート創業者 アプールバ・メタ(Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch)

インスタカート創業者 アプールバ・メタ(Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch)

新型コロナの流行を奇貨として伸張著しい食料品のオンライン購入は、今や1000億ドル。起業マニアだった男はいかにして食料品のEC・インスタカートを米国最大にまでしたのか。
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30代にしてビリオネア、アプールバ・メタ。2年間で20のスタートアップを立ち上げ、いずれも空振りさせ、最後に成功させたのがインスタカートだ。その企業価値は180億ドル。インド生まれの苦労人だが、アマゾン社員だった2015年に米フォーブスの「30UNDER30(世界を変える30歳未満の30人)」に選出されている。彼は自社がアマゾンより優れている理由を力説する。だが問題は、新型コロナが去った後にデリバリービジネスがどうなるかだ。

アプールバ・メタが思い返すのは、未曾有のカオスのことだった。昨年1月、メタが経営する「インスタカート」は人気アプリとして勢いに乗っていた。そこへ昨春、新型コロナウイルスのパンデミックが発生したことで、アプリの需要はいや増した。だが、事態はすぐさま悪夢へと転じた。

ショッパー(買い物代行員)がストライキを起こし、在庫は不足し、猛烈なペースの需要に応じなければならないという、いくつもの難題に直面したのだ。
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結果的には、昨年3月の試練は始まりにすぎなかった。インスタカートは食料品デリバリーサービスアプリとして米国最大のサプライヤーだが、現在は、次々と現れる資金力豊富な競争相手に包囲されている。メタ自身にもプレッシャーがある。というのは、10カ月間で2倍以上の180億ドルとなったインスタカートの企業価値と、待ち望まれる株式公開について、その正統性を示さなければならないからだ。

「僕がプレイしているのは20年がかりのゲームなんです。食料品の販売は世界でも最大の小売り分野ですが、まだデジタル化されていません。その未来の姿が楽しみでなりません」とメタは話す。

この未来の姿とは、伝統的にテクノロジーを嫌ってきたスーパーマーケットが、デジタル化されたフルフィルメント事業(受注から配送まで行う物流拠点)へと変貌を遂げ、食料品を仕入れ、売り出し、梱包を行い、受け取りまたは配送できるようにすることだ。

インスタカートでは、35ドル以上の注文で配送1回につき最大9ドルの手数料を顧客から徴収する。もしくは、年会費99ドルで配送料を無料にしている。食料品店側が支払う手数料もあり、こちらは注文1回につき平均10%となっている。歴史的に見て純利益率が平均2%かそれ以下であるこの業界からすれば手痛い条件だ。だが、メタはコストコやイータリーなど600の小売業者と契約している。
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文=クロエ・ソルヴィーノ 翻訳=木村理恵 編集=石橋俊澄

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