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2021.09.16

苦戦が噂される「Apple TV+」、新ドラマにトム・ハンクスらを起用

左からアップルCEO ティム・クック、人気のコメディシリーズ「Ted Lasso」で主演を務めるジェイソン・サダイキス(Frazer Harrison/FilmMagic)

アップルは、9月14日に開催されたiPhoneの新モデルの発表会という注目を集める場を利用して、この秋にストリーミングサービス「Apple TV+」で配信されるコンテンツを紹介した。

今回のラインナップには、人気ドラマ「ザ・モーニングショー」のシーズン2をはじめ、ジョン・スチュワートやトム・ハンクス、ケビン・デュラント、マハーシャラ・アリなどの大物を起用した作品が含まれている。

アップルは、2年前に開始した動画ストリーミングサービスApple TV+の人気を高めるために、スターの力を借りようとしている。

フォーブスの取材に匿名で応じたハリウッド関係者によると、アップルは彼らが自社のコンテンツにふさわしいと考える俳優のリストを制作会社に提示し、「ここに含まれているメンバーが1人でも出演するのであれば、我々は製作費を出す」と、持ちかけているという。

ティム・クックCEOはイベントで、人気のコメディシリーズ「Ted Lasso」を含むApple TV+の作品がプライムタイム・エミー賞の35部門にノミネートされたことをアピールした。今後公開される作品には、ジェニファー・アニストンとリース・ウィザースプーンが主演した「ザ・モーニングショー」のシーズン2や、アイザック・アシモフのSFが原作で、1話あたりの制作予算が500万ドルとされるドラマの「Foundation」が含まれている。

Apple TV+の制作陣は、アップルのイメージに合うプロジェクトを厳選している。彼らは2016年にジェームズ・コーデンの「カープール・カラオケ」を買収して以来、リアリティ番組には手を出していない。

2019年にスタートしたApple TV+は当初、批評家の評価がまちまちだったものの、「ザ・モーニングショー」や詩人エミリー・ディキンスンの反抗的な10代を描いた「ディキンスン」などが高く評価された。また、アメリカンフットボールの監督を主人公にしたコメディードラマ「テッド・ラッソ」も好評を博している。

Apple TV+は「離脱率が高い」説も


しかし、アップルのオリジナルコンテンツへの投資が功を奏しているかどうかは不明だ。ニールセンは、アップルの番組の視聴状況を追跡しているが、そのデータをメディアに開示していない。アップルもApple TV+の加入者数を公表しておらず、音楽やゲームを含むさまざまなサービスの7億人の利用者と一緒に報告している。

アップルは、同社のデバイスを購入した消費者を対象に、無料トライアル期間を繰り返し延長してきたが、7月1日に無料期間が終了したため、継続を選択した人は月額5ドルの料金を支払うことになる。

しかし、Deloitteが2021年1月に開示したレポートで、Apple TV+は、ネットフリックスやDisney+、HBO Maxなどの競合よりも加入者の離脱が多いとされていた。

アップルが新たに送り出す作品には、2015年に「The Daily Show」を降板した人気司会者のジョン・スチュワートを起用した時事番組「The Problem with ジョン・スチュワート」や、トム・ハンクスが愛犬のためにロボットを作るエンジニアを演じるSFドラマ「Finch」(11月5日に配信開始)などが含まれている。

また、NBAのスター選手であるケビン・デュラントの経験を元にしたドラマ「Swagger」や、マハーシャラ・アリ主演のオリジナル映画「Swan Song」などの公開が予定されている。

編集=上田裕資

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