コロナ禍で地方移住4倍 1年で8人の移住転職者を採用した「イツノマ」とは

「イツノマ」に移住転職したメンバーたち


課題は移住転職者の「定住」


移住転職に課題があるとすれば、それは「移住者がきちんと根付く仕組み作り」である。

「都心から地方へ移住転職をしてきても、地元出身の社員らが『どう扱ったらいいのかわからない』と困ってしまっては、早期離職につながりかねない。特に田舎はコミュニティが狭い分、人間関係の構築が業務に与える影響も大きいんです」と中川は指摘する。

とはいえ、全員がハッピーな状態を目指そうとしてもきりがない。

「共感できて自分の成長を実感できる大義、つまり僕たちでいうビジョン『都農から日本一作ろう』を設定することが重要です。その社員のモチベーションがその大義に向かっていれば良いのです」

イツノマは今春、閉校になった高校の最後の卒業生を新卒で採用した。今後は「移住者半分、地元出身者半分」の従業員構成を目指している。町への愛着を育むキャリア教育支援を中学生から行うことで、高校から町外に出たとしてもUターン就職・転職で帰ってきてもらえる可能性に期待する。

「都農町出身の経営者仲間が、『高校生までいた都農とイメージが変わっていた。町がすごく元気になっていたから帰りたくなった』と言ってくださってジーンと来ました。今の10代の子どもたちに地元に希望を持ってもらうこと、それは僕の責任でもあるし目標でもあります」

コロナ禍で増えている移住転職者。もしかすると、日本中の地方の共通課題である少子高齢化や過疎化を解決する一助になるかもしれない。

文=堤美佳子 取材・編集=田中友梨

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