キャリアは「投資」の先にある アマゾンジャパン幹部の仕事論

鳴坂育子(撮影=小田駿一)


「いろいろな意見があっていい」という鳴坂は、意思決定の際には、メンバーの意見をフラットな状態で受け入れ、判断することを意識しているという。
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リーダーとして走り続ける自身のキャリアについてどう考えているかと聞くと、こんな答えが返ってきた。

「自分のスキルや経験は、積み重ねていくものだと思っています。『自分への投資として蓄積していく』という気持ちで日々の仕事に向かえば、自分が得意なこと、好きなこと、嫌いなこと、苦手なことが自ずと分かってくるはず。それが見えたら、なるべく得意なことや面白そうなことを新しい仕事に繋げていくんです」



当然、新たな機会が巡ってきた時に、経験が足りないと思うこともあるかもしれない。それでも、自分が積み重ねてきたスキルや経験の延長線上にあるものとして受け入れ、「来るもの拒まず」で躊躇せずに挑戦してみる。その繰り返しで気づいたらいまのポジションに立ち、キャリアをつくってきたと鳴坂は言う。

17年間物流に携わり、半年前からはカスタマーサービスの部門に移った鳴坂には新たな目標もできた。

「このポジションに決めたのは、お客様が購入してからという物流サービスの向上だけではなくて、購入前や返品といった面での利便性も高めたいという想いがあったからです。まだまだ改善の余地があると思うので、これから実現していきたい。

それと、今でも女性の社員は多いのですが、国籍も含めもっといろいろなバックグラウンドを持つ人が入社して、さまざまな意見が生まれるような職場環境にしていきたいですね。世界中の数億人ものお客様にサービスを提供しているAmazonで何かをしようと思ったら、多様性のある従業員でないと適切な顧客体験を提供することはできないとの考えから、会社としても多様性や公平性、包括性といった価値観を非常に重要視しています」

最後に、鳴坂が“ビヨンド(超える)”を意識している対象を訊ねると、それは「自分の中で勝手につくっている限界」だという。

「とにかく、始めてみないと経験を積み上げられない。合わなかったら合わないという結論を出すというだけでも意味がある。やってみて自分の糧になるのなら、それを使って新たな部分を開拓できるということです。『好きなことに勇気をもって挑戦していく』、それがすべてなのかなと思っています」

文=島田早紀 写真=小田駿一 取材・編集=松崎美和子

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