2000年から2016年にかけて、世界の749都市における死者数千万人を分析した査読つき研究論文によれば、山火事によって生じる汚染物質の一形態である微小粒子状物質(PM)は、毎年およそ33万5000人の死因になっているという。
そのうち、心臓関連の問題を原因とする死者は7000人近く、呼吸器の問題による死者は約3500人にのぼる。この知見はグローバルな研究チームにより得られたもので、山火事関連の汚染の影響を調べた世界規模の研究はこれが初めてだ。
研究チームによれば、山火事で放出される多くの汚染物質のうち、もっとも懸念すべきは微小粒子状物質だという。というのも、そうした物質は肺から血流に入れるうえ、他のタイプの火災で生じる場合よりも、化学組成が毒性の強いものになる傾向があるからだ。
210都市で毎年3200人近い死者を出している米国は、山火事の煙に関連する死者がとくに多い国のひとつだ。そのほか、メキシコ(10都市で3000人超)、南アフリカ(52都市で約5300人)、中国(15都市で約1200人)も死者が多いことがわかった。
ただし研究チームは、この研究では、研究対象期間における山火事による汚染の全貌をつかみきれていない、と注意を促している。一酸化炭素や二酸化炭素など、山火事に起因するその他の汚染物質が考慮されていないほか、負傷やメンタルヘルスの悪化といった、その他の健康への影響も加味されていないという。
この研究を主導したユミン・グオ(Yuming Guo)はフォーブスに対し、山火事とその煙害の頻度と影響は、気候変動の結果として増加していると述べた。また、そうした影響は、心血管疾患や呼吸器疾患にとどまらないという。「大気汚染は、全身の機能に影響を及ぼし」、心の健康、自殺、糖尿病、腎臓、脳にかかわる問題と結びついているとグオは指摘した。