ビジネス

2021.09.16

ストレッチ専門店「Dr.stretch」、第三創業へ。コロナ禍でも好調の秘訣とは

ノビテル代表取締役社長 黒川将大


緊急事態宣言下、社員のモチベーションをどう上げる


──店長を選ぶのに総選挙制だったりとユニークな組織作りをされています。この1年半のコロナ禍では、どんなことで社員のモチベーションをあげていかれたのでしょうか。

確かに他の会社と全く違うことをしたというのはあります。昨年の3月に緊急事態宣言が発出され、昨年4、5月と全店閉店して、11億円くらい赤字を出してしまいました。当時は融資が出るかもわからなかったのです。ですが、どこよりも早く給料は満額払うと社員に宣言したんです。

法的には給与は6割払えばよかったのですが、3-4割削減したからといって、会社って助かるの?と思ったんです。もう失った額が桁違いの額で、助かる額ではない。もう、つぶれるか助かるかどちらしかないと。その時、助かるのであれば、お店が再開してからどう営業できるかの方がよほど重要だと役員で話し合いました。

この時は再開のめどが全く立たない状況で、8月まで営業再開できなかったら倒産していたのだと思います。でも、もうこれは賭けだと、倒産する覚悟で全額給料を払うと言い切りました。お店を再開した時に、最高のモチベーションで戻ってきてくれた方が再生する確率が高いと話したのです。案の定、再開した時に高いモチベーションで皆が戻ってきてくれて、お客様に戻って頂けるには数か月かかりましたが、本当にみんながんばってくれて、売上も伸びていったのです。

そして今年1月の緊急事態宣言では、指定業種に入りませんでしたが、閉めているお店の中には給料がもらえているところがあったり、社員はコロナ禍で働くのも怖いだろうし、どうやったら気持ちが伝わるだろうかと役員会で話し合い、お弁当を配ることに決まりました。

これは、私が若い時に上司にご馳走してもらえた時、無性に嬉しかったことが記憶にありまして…。給料に上乗せしたらいいという意見もありましたが、絶対に譲りませんでした。給料、休暇、手当といった言葉がありますが、社員からしたら管理されるためのツールになってしまうので、気持ちを伝えるためには絶対に使ってはいけないと思ったのです。

社員の親からも感謝のお声を頂いたり反響が良くて、執行部にとってもパワーになりました。気がつけば、社員の働く気持ちと、仕組みとを同軸で考える、そんな癖がついてきたように思います。

──トップ自らの積極的なコミュニケーションが皆の結束力を高めたのですね。

緊急事態宣言が出ると、このあたりで社員は不安になっているな、と思ったら社員限定のインスタライブでメッセージを伝えたり、Zoom座談会も頻繁に行いました。元々店舗に自ら出向きコミュニケーションを図っていたので、双方向でも一方向だけでもひたすらコミュニ ケーションをとっていこうと試みました。


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文=加藤倫子 写真=藤井さおり

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