現代自動車は、水素を動力とするトラックの商用化に数十億ドル規模の投資を行う計画を明らかにしている。同社は、現行の燃料電池よりも50%安く、30%小型でありながら、2倍の出力を実現する次世代システムを2023年までにリリースし、2028年までに全ての商用車に燃料電池を搭載する計画だ。
「水素は、気候変動と闘う上でパワフルなソリューションだ」と現代自動車グループの会長であるチョン・ウィソン(鄭 義宣)は9月7日のプレゼンテーションで述べた。
トヨタや日野自動車、GM、ダイムラー、ボルボなどの各社が大型車両向けの水素燃料電池を開発している。水素燃料電池は、バッテリーパックに比べて軽量で充填時間も短いという利点がある一方で、インフラや車両価格が高額なのが難点だ。また、再生可能エネルギーや水、廃棄物から作られる「グリーン水素」の製造量を増やすことも、課題となっている。
燃料電池車とバッテリーを動力とする自動車は、いずれも電気自動車であり、モーターなど多くの部品が共通している。違いは、バッテリーが電力を蓄えておくのに対し、燃料電池は電気化学プロセスによって電力を生み出し、排出されるのは水蒸気のみという点だ。燃料電池は、電車や船、フェリーなどにも利用されている。
米エネルギー省は、水素関連サミット「Hydrogen Shot Summit」を8月31日に初めて開催し、気候変動と闘うための手段として燃料電池やバッテリー、再生可能エネルギーの利用を奨励した。
気候変動問題の大統領特使であるジョン・ケリーは、カンファレンスで次のように述べた。「世界の燃料電池市場は今後数十年で数兆ドル規模に拡大する見込みだ。業界予測によると、米国は水素経済に関わる分野で2030年までに70万人の雇用を生み出すという。水素は、風力や太陽光、原子力、水力発電、地熱などのクリーンエネルギー技術と、まだ送電網に乗っていないエネルギーのユーザーとの隔たりを埋めることが可能だ」