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ビジネス

2021.09.14 17:00

中国がアリペイに「分割」命令、与信データを政府の管理下に

Getty Images

中国の規制当局は、10億人のユーザーを抱える世界最大のモバイル決済アプリである「アリペイ(支付宝)」を分割する準備を進めている。この動きは、中国政府が進めるハイテク企業に対する支配力の強化の一環だ。

中国の規制当局はすでに、アリペイの親会社のアントグループに対し、同社が運営する2つの小口融資アプリ「花唄(Huabei、ホワベイ)」と「借唄(Jiebei、ジエベイ)」のバックエンド技術を、アリペイの残りの部分から分離し、外部の株主を呼び込むよう求めている。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、事情に詳しい2人の関係者の発言を引用し、規制当局が、これらの融資プラットフォームを独立したアプリに分割し、融資の判断材料となる個人データを、国家が関与する新たな信用調査会社に引き渡すようアントに要求していると報じた。

この計画が実行されれば、アントは独自に借り手に与信を行うことができなくなり、政府が関与する信用スコアリング会社の指示を受けることになる。

この動きは、アントグループの全収益の39%を占める2つの融資事業の成長を著しく抑制する可能性がある。

アントはジャック・マーが共同創業したアリババの関連会社だ。この報道を受けてアリババの株価は、9月13日の香港市場で一時5.9%も下落し、最終的には4.23%の下落で当日の取引を終えた。

中国の中央銀行である中国人民銀行は今年に入り、アント対し、信用評価データを国有銀行らが主導する新会社に引き渡すように迫ってきた。

アントは同社がこの新会社を主導すべきだと主張したが、当局は利益相反の可能性があるとしてこれに反発した。9月1日のロイターの報道によると、アントと浙江省旅游投資集団が信用調査会社のそれぞれ35%の株式を保有し、ほかに杭州金融投資集団と浙江電子口岸がそれぞれ5%超の株式を持つ計画がまとまったという。

中国政府は昨年、アントグループが上海と香港で予定していた記録的なIPOを阻止したが、その背景には、融資サービス「花唄」と「借唄」の大規模な成長と、個人データの蓄積があったという。それ以来、規制当局は複数の大手ハイテク企業が、反競争的な行為や大量の個人データの収集を行ったとして処罰していた。

アントは昨年、中国の住宅ローン以外の融資サービスの10%を手がけていたとされる。

編集=上田裕資

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