バイデンのワクチン接種令、遠隔勤務取りやめのきっかけに?

米大統領 ジョー・バイデン(Getty Images)


テック企業の動向も気になるところだ。大手銀行と比べ、テック企業は在宅勤務を広く受け入れてきた。もしテック企業がオフィス復帰を強要すれば、従業員は会社に見切りをつけ、規模が100人未満のスタートアップ企業へ乗り換えるかもしれない。

遠隔勤務は、標準的な働き方から、ひとつの報酬か手当のようになっていくかもしれない。ワクチンの効果は完全ではなく、複数のブースター接種が必要となる。さらに、新たな変異株が出現しており、多くの従業員は自分の健康リスクについての不安を抱え続けることになる。

思いやりのある企業はしばらくの間、ハイブリッドと遠隔勤務の選択肢を残すかもしれない。しかし今後、ワクチンの義務化によって現状が打破できれば、オフィス勤務への復帰を従業員に指示する企業も出てくるだろう。一方で、この2年間での遠隔勤務の生産性を振り返り、これが大成功を収めたと結論して、遠隔勤務の継続を決める企業も出てくるかもしれない。

多くの企業にとって、今回のバイデンの大統領令は安堵をもたらすものだ。企業はこれまで、ワクチン接種を強制されれば退職も辞さない構えを見せる従業員と、未接種者の隣で働くことを恐れる従業員との間で、板挟みとなってきた。新たな大統領令によって、こうした企業の立場は楽になった。企業幹部はただ、「私たちが決めたことではない。接種をしない人も仕事を続けてほしいが、大統領の命令には逆らえない」と言えばよいのだ。

編集=遠藤宗生

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