昨年春に新型コロナウイルスによるロックダウンが行われたとき、ユーザーは、2016年にローンチし、セコイアキャピタルやグレイロックなどの投資家から約7000万ドル(約77億円)を調達したHousePartyの使いやすい機能に飛びついた。このアプリのダウンロード数は、2020年3月に1720万回に達したが、その前月のダウンロード数はわずか57万回だった。
HousePartyの終了は、いくつかの現実を反映している。昨年から、人々とテクノロジーとの関係は大きく変化し、ミーティングはZoomで、デートはFaceTimeやビデオチャットで行われるようになった。学校が休みになった子供たちは、フェイスブックの「Messenger Kids」を使って、AR(拡張現実)のマスクをかぶって友達と会話をしている。
酒場での雑談もClubhouseでデジタル化され、Discordなどのプラットフォームでも、ゲームの人気が急上昇した。
しかし、これらの新しいアプリのうちどれが生き残るかは不明で、直接会って話をする代わりに使われたアプリがどうなるかも分からない。そんな中でHousePartyの終了は、多くの人が以前の暮らしに戻り始めたことを示唆している。SensorTowerのデータによると、HousePartyの先月のダウンロード数は約50万件で、パンデミック前の水準に戻っている。
HousePartyと同様な試練は、Zoomにも訪れた。8月に期待外れの成長率を発表したZoomの株価は12%下落した。第1四半期の売上は前年同期比で200%近い増加だったが、第2四半期は54%にとどまり、第3四半期も31%程度になると予想されている。
一方で、エピックゲームズをはじめとする企業は、完全に没入できるデジタル空間の「メタバース」の構築に乗り出している。
フェイスブックは、Snap と同様に今後数年間をメタバースのコンセプトに注力しようとしており、HouseParty が提供するような初歩的なビデオチャットへの熱狂は、色あせたものになりつつある。