このトレンドは「リコマース(中古品売買)」というマーケティング効果の高い新語まで生み出した。
「より多くの消費者に商品を提供し、同時に環境への影響を低減することができる」と話すのは、「REI」で中古販売部門の責任者を務めるケン・フェラーだ。生活協同組合が母体のREIの中古販売部門は、従来の会員より10~20歳も若い顧客に支持されていて、昨年は売り上げも企業価値も2倍になった。古着ビジネスはREIの急成長部門で、2019年の推定売上高は約8億ドル、40%増となったという。
新品と古着の違いなんて時代遅れ
高級ブランドを扱うリアル・リアル(The Real Real)は2019年に上場を果たし、毎年10億ドル超の商品を動かしており、2020年からは試験的提携をグッチと行っている。2020年9月に上場したポッシュマーク(Poshmark)を利用するアクティブユーザーは3200万人もいる。
トローブはこうした同業他社よりはるかに規模は小さいが、動きは速い。2020年に取り扱った商品は3倍の60万点に増加した。そして、エルメスなどの持続可能性を重視する投資家から4500万ドルを調達した。
「新品と古着の違いなんて時代遅れ。その違いなんてやがて消えてしまうよ」とルーベンは言う。
トローブの前に在籍していたのはウォルマートだが、そこを退職したルーベンは2012年、仲間とともにトローブを創業した。同社はユーザーが不要になった品物を出品したり、中古品を検索したりできる、P2P(ピアツーピア)のマーケットプレイスとして出発した。数百万人のユーザーを獲得するまでに成長したが、ルーベンは、ユーザーがいちばんワクワクするのは、ガラクタ中古品の中にブランドの名前を見つけたときだということに気づくのである。
ルーベンの最初の顧客はパタゴニアだった。トローブと提携すると、すぐに膨大な古着が集まり、トローブが立ち上げたサイトに出品された。ほかのブランドも後に続き、アイリーン・フィッシャーやREIの中古品は、新品のほぼ半額だ。アパレル業界がここ1年力を入れてきた中古品事業は、利益率も悪くないし、新品に近い純利益をあげているのだ。
ブランドや小売業者はすぐにオンラインのマーケットプレイスでの再販の取扱量を縮小するだろう、とルーベンは予測するが、いまの流れはルーベン側にあるだろう。再販事業は大手ブランドにとって、喜んで手放したくなる面倒なビジネスであることには変わらないからだ。