急務となったメインフレームの刷新、RPAなどの新技術が後押しに

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RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、従来のIT環境で発生する、煩雑で繰り返し行われるプロセスの自動化に効果を発揮することが知られている。ROI(投資対効果)がすぐに得られるケースが多いRPAテクノロジーは、人工知能(AI)をはじめとする他のモダナイゼーションへの足がかりとなる可能性を持っている。

こうしたメリットを考えれば、RPA業界がかなりの成長を見せていることも驚きではない。その好例が、ルーマニア発のRPA企業「UiPath」だ。同社は2021年4月に新規株式公開を行い、その時価総額は320億ドルに達している。

注目すべきは、UiPathのARR(年間経常収益)が好調に推移している点だ。前年比64%増の6億5300万ドルとなっている。また、ドルベースのNRR(売上継続率)は145%で、顧客数も8500社以上にのぼっている。

RPA使用事例の多くは、Windowsアプリケーションの自動化に関するものだが、他のカテゴリーも存在する。見過ごされがちだが、実に興味深く、成長の機会をもたらしてくれそうなカテゴリー、それがメインフレームだ。

言うまでもなく、一般的な認識としては、この市場は発展から取り残されたエリアだと見られている。だが実は、この認識は根拠のない思い込みにすぎない。メインフレームは、世界でも最大級の企業において、いまだに多くのミッションクリティカルな作業を担っていることを忘れてはならない。

例えば、世界のトップ100に入る銀行のうち、92行はメインフレームを採用している。また、トップクラスの保険会社のすべて、さらに、小売業者のトップ25のうち18社は、メインフレームのユーザーだ。

確かに、メインフレームにはモダナイゼーションの必要が生じており、こうした取り組みには多大な費用と時間がかかる。では、RPAはこうした問題の救世主になるのだろうか? 実に興味深いことに、RPAはすでにそうした役割を果たし始めている。

ジェンパクト(Genpact)でインテリジェント・オートメーション部門のバイスプレジテントを務めるベン・チャンス(Ben Chance)は、「初期の模範的な使用事例の多くは、メインフレームのデータにアクセスし、これを活用して、SAPやオラクルをはじめとする他のSoR(System of Record)とデータを相互にやり取りするものだ」と述べる。「これらの使用事例の大半は、ビジネス・プロセス・オートメーション(BPA)の領域に属するもので、金融サービスをはじめとする、レガシー系のフットプリントが大きい組織を対象としていた」

しかし、メインフレームのインテグレーションはかなりの難題だ。利用可能なAPIの数は限られているケースが多い。さらに、RPAがメインフレームとやり取りをする際には、主にスクリーンスクレイピングの手法が用いられる。だが、複数画面を用いる構成や、複雑なプロセスが採用されている場合には、この手法でのインテグレーションの実現は難しくなる。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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