急務となったメインフレームの刷新、RPAなどの新技術が後押しに

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デロイト・コンサルティングでマネージング・ディレクターを務めるボブ・グラボウスキ(Bob Grabowski)は、こう提言する。「企業や組織は、手動プロセスを補うために、人と共同で作業を行うAttendedボットの利用を検討すべきだ。これは、エンドユーザーがボタンをクリックすることによって実行されるタイプのボットのことだ」

「以下のようなプロセスが考えられる。まずは、人間が手動プロセスの最初の数ステップを実施し、その後をボットが引き継いで、続く15~20ステップを数秒で実行する。そして最後に、人間が仕上げの数ステップを手動で実施し、プロセスを完了させるというものだ」とグラボウスキは述べる。「こうしたボットは、エンドツーエンドでプロセスを自動化するものではないし、企業全体で広く採用されることもないかもしれない。それでも、数千回繰り返し実行されるプロセス内にある複数の手動ステップを高速化するうえで、非常に有効なツールとなりうる」

もう一つの問題は、トランザクションに関するものだ。メインフレームは、数百万件のレコードなどの巨大な作業量を処理するために、CICS(Customer Information Control System)などの高度なアプリケーションを用いることが多い。

アダプティジェント(Adaptigent)プレジデントのアレックス・ヒューブライン(Dr. Alex Heublein)博士は、「純粋なスクリーンスクレイピングの手法だけでは、あまりに非効率で、多くの環境で適切なスケーリングができなくなりがちだ」と語る。

だが、この問題を解決する方法はある。その一つが、ホストブリッジ・テクノロジー(HostBridge Technology)が提供するソフトウェアだ。20年前に創業した同社は、IBM製メインフレームとのインテグレーションやオーケストレーションを可能にするソリューションの開発を専門としている。

「HostBridge JavaScript Engine(HB.js)」は、CICS環境内で動作する。これを用いることで、プロセスを自動化するAPIやサービスの作成が可能になる。

ホストブリッジ・テクノロジーの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のラス・テューブナー(Russ Teubner)は、「最近では、当社の顧客はHB.jsを用いて、UiPathなどのボットや自動化プロセスから呼び出し可能なRESTfulサービスを書いている」と語る。「このような形でボットをメインフレームに統合すれば、スケーラブルで高性能な統合への道が開ける。これなら、スクリーンスプレイピングで生じる厄介な問題を避けることも可能だ」

こうしてみると、メインフレーム環境との統合から生じるチャンスには巨大なものがある。実際、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、こうした統合はさらなる急務と化している。RPAもこの統合を進める一助とはなるものの、さらなるイノベーションの余地があるのは明白だ。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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