「戦争ビジネス」に群がるスタートアップとグーグルの関係

ジェームズ・マードック(Photo by Bryan Bedder/Getty Images for National Geographic)


グーグル関連の企業


グーグル自体はプロジェクト・メイヴンから手を引いたが、同社と姉妹関係にあるアルファベットの投資会社の「GV」の出資先のスタートアップが、軍事関連のビジネスに邁進している。

GVが資金を提供したメイヴンの業務を受託しているスタートアップの1社が、元グーグルのビッグデータサイエンティストであるジミ・クロフォードが設立した「Orbital Insight」だ。フォーブスは以前、Orbitalが税関・国境警備局や軍と衛星からの映像を分析する契約を獲得したと報じたが、ポールソンが入手した契約書によると、同社はメイヴンに「高高度静止画像マルチスペクトルモデル」を開発するための180万ドルの契約を結んでいる。

さらに、別の2人の元グーグル社員が設立したスタートアップ企業の「CrowdAI」と「ClarifAI」も、メイヴンに技術提供を行っている。

ClarifAIは、メイヴンから2500万ドル以上の契約を獲得している。元グーグルのインターンでAIの専門家であるMatthew Zeilerによって設立されたClarifAIは、Menlo VenturesやUnion Square Venturesなどと並んでGVからも創業当初に資金提供を受け、これまでに4000万ドル以上を調達している。

同社は4月に、ピーター・ティールが立ち上げたパランティアとの提携を発表し、米軍の無線局を近代化するプロジェクトの一環として、「物体検出モデル」を提供している。ClarifAI はさらに、国防総省に顔認識ソフトウェアを提供しており、ポールソンがはそのシステムが、ドローンで撮影した映像の顔認識を行うものだと推測している。この件について、ClarifAIはコメントに応じていない。

一方で、CrowdAIは先日フォーブスが発表した注目すべきAI企業トップ50社に選ばれたが、メイヴンから「静止画像を分析し、画像のラベル付けを行う業務」と「衛星画像データとフルモーションビデオを処理するためのインフラ関連の業務」を受注していた。ただし、金額は340万ドルという比較的少ないものだった。

CrowdAIの共同設立者兼CEOは、元グーグルのデータサイエンティストのDevaki Rajだ。同社の顧客には、カリフォルニア州航空警備隊とカリフォルニア州森林火災保護局が含まれており、山火事の発見にも協力している。。


ピーター・ティールの出資先


ポールソンの調査で、ピーター・ティールが関連する2社も、メイヴンの業務を受託していることが分かった。その1つは、サンフランシスコに拠点を置き、AI技術の開発を加速するテクノロジーを提供する企業の、「Scale AI」だ。

同社は、ティールの投資会社Founders Fundが主導した2019年のラウンドで、1億ドルを調達しており、累計調達額は6億ドル以上に及んでいる。評価額が70億ドルのユニコーン企業であるScale Aは、ポールソンによると、「フルモーションビデオのラベリングのためのインフラ」をメイヴンに提供した。

さらに、ピーター・ティールが率いるパランティアは、以前からメイヴンに参加していると報じられてきたが、ポールソンの調査で、2018年に2500万ドルのライセンス料をメイヴン関連の契約で得ていたことが判明した。

フォーブスがすでに報じたように、アマゾンのAWSやマイクロソフト、IBMなどの大手もメイヴンとの取り組みを行っている。しかし、この3社の中ですでにメイヴンとの契約を終了したことをフォーブスの取材に認めたのは、IBMのみだった。

編集=上田裕資

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