「無理して向き合わなくてもいい」 アーティストSIRUPがメンタルヘルスを話す理由

対談連載「Talk about Mental Health」。第3回ゲストは、SIRUP


愛:SNSなど、ご自身のプラットフォームを使ってメンタルヘルスや社会問題について発信されていますが、SIRUPさんはファンにとってどのような存在でありたいと考えていますか?
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SIRUP:特にいまの日本の社会は、みんな働きすぎていて、学ぶ余裕すら無い人も多いと思う。そういう人たちに向けて「いい学び見つけたぞ!時間ある時見といて!」とフラットに声をかけるような存在でいたいですね。自分が教えるというよりも、近くで一緒に学んでいる存在でありたいです。

愛:「教える側になる」というよりも「一緒に学ぶ」ことは私もすごく共感できます。blossomの投稿をシェアする時、その一つの投稿を読んで学びが終わるのではなく、そこから会話や議論が始まってほしいと考えています。

SIRUP:そうですね。いまの日本で早く解決したいのは、批判=悪になっていること。何事もより良くするためには批判はあるべきだと思っていて、社会全体の風潮がそうなっていけばいいなと思います。先日初めてファンの方に「意見が違うのに自分の音楽を聴いてくれて、話をしてくれてありがとう」と返信してみたんです。議論ができる場所を作ることも大切ですね。
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愛:日本の社会ではよく人を「箱」に入れますよね。例えば学生の時は同じ制服を着て、髪の長さや髪色まで決められたり、大学でもみんな同じように就活を行ったり、自分の個性や意見を表現できる場が少ないのではないかなと感じます。そうしたなかで音楽をつくったり、絵を描いたり、芸術を通して自己表現を行うこともできると思うのですが、SIRUPさんは自分の感情や個性を尊重して表現することの大切さについて、どう思いますか?

SIRUP:少し異なった視点になりますが、音楽というカルチャーがもう少し深く根付いてほしいと僕は考えています。例えば自分の場合はR&B、ヒップホップ、ソウルをベースにやっていますが、それぞれのジャンルの音楽の歴史的背景までしっかりと学ぶ必要があるし、学ぶことによってさらに音楽を楽しめるようになると思うんです。そうした知識を身につけた上で、心から歌ったり、楽器を鳴らしたりすることが原体験となり、ゆくゆくは自己表現に繋がっていくと思うので、そういった体験ができる機会をもっとつくっていきたいです。

例えば前半で実際に自分で音楽をつくったり、楽器を演奏する体験をして、後半でプロのライブを見るようなフェスができたらいいなと思ったり。自分がさっき体験したことを、プロがやっているのを見たら「音楽ってすげー!」と感じる原体験になると思うし。そういう心が揺さぶられる原経験をした時に「自分はこういう気持ちになるんだ」と自分の気持ちに気づき、そこから個性が生まれてくる。

愛:貴重なお話をありがとうございます。最後に、これから挑戦したいことを教えてください。

SIRUP:いま考えているのは、自分がやっていることを日常的にファンの方とお話できるようなメディアをつくっていきたいです。あとは、僕は音楽をやっていたことで社会問題について知りたいと思えたし、向き合う姿勢ができたと思うので、音楽を通してどう社会と向き合っていけるのかを、さらに追求していきたいですね。海外のアーティストとのコラボや企画など、いろいろいま進めていることもあるので、そうしたなかで自分の表現の幅を広げていきたいなとも思っています。

聞き手・文=中川ホフマン愛 編集=河村優

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