「無理して向き合わなくてもいい」 アーティストSIRUPがメンタルヘルスを話す理由


愛:音楽を作る時のインスピレーションは、どこから得ているのですか?

SIRUP:インスピレーションのほとんどを、人とのコミュニケーションから得ていたんだなとコロナになってから気がつきました。自分にとって音楽は、感情の整理だったり人生の記録に近いもので、曲を書くことでいろいろなものをアウトプットさせている感覚があります。1曲できるたびに心のなかがクリアになっていくような。日常的に曲を作りたいと思う瞬間があったり、友達に「こういう曲作らない?」ともちかけて一緒に作曲したり。曲をつくることがライフスタイルの一部になっていますね。

愛:SIRUPさんはご自身のことをアーティストとミュージシャン、どちらだと考えていますか?

SIRUP:「アート」の定義に、社会とどう関係しているのか、社会にどうメッセージを投げかけられるのか、ということが含まれるのだとしたら、僕はアーティストだと思っています。自分の内にあることを曲として出していますが、それが社会とどう関係していくのか、問題とどう繋げていけるのかということは常に意識して曲作りを行っています。

SIRUP

愛:ご自身の曲中に、社会に関わるテーマを含めているということでしょうか?

SIRUP:そうですね。僕の場合は具体的になりすぎない言葉を使いながら、メンタルヘルスのことなども含めて、社会問題に触れています。今年リリースしたアルバム「cure」では、日常でのさまざまな気づきや、メンタルヘルスについても意識して歌詞に入れました。

自分がそうだったように、メンタルヘルスやセルフケアとかセルフラブとか、なにかひとつでもキーワードを知ることで、自分を大切にすることの重要性だったり、ものすごくいろいろなことを知れるようになるので、みんなもそうなってほしいと思うんです。でも例えば僕が曲で説明しまくったらわかってもらえるかというとそうではなくて、自分で知って解釈することで得るものもあると思うので、そういうアクションに繋がることを願って、自分の曲のなかではバランスをとって表現しています。

自分の心を尊重して、表現すること


愛:SIRUPさんのSNSのプロフィールには「Love & Educate yourself」と書かれていますが、この言葉にはどのような想いが込められていますか?

SIRUP:本当に書かれている通りで、とにかく自分を愛すること。ただ、それだけでは賄えない部分もあるので、周りで起きていることについて自分から学んで知識を身につけることも大切です。

あと、僕は最近社会学を学んでいるのですが、社会学は相手の視点になって考える学問なんです。相手の立場から物事を考えることを学ぶと、いろいろな可能性が見えてきて気持ちが楽になったり、自分自身のことも見えてくると思うんです。自分を大切にしながら、相手のことを考えることも大切だと思っています。
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聞き手・文=中川ホフマン愛 編集=河村優

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