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モルガン・スタンレーは今回のレポートで、ヤンデックスSDGの競争優位性として、次の7項目をあげている。

1. 低予算ながら目覚ましい成果

ヤンデックスSDGは現在、約400名のエンジニアに加え、運用スタッフやサポートスタッフを雇用しているが、他社と比べるときわめて低コストで運用し、モルガン・スタンレーは同社の自動運転テクノロジーの開発に投じた費用が、4年間で累計6500万ドルと試算した。ウェイモとクルーズは2000人以上の従業員を抱え、外部から巨額の資金を調達しているが、ヤンデックスSDGは、外部から資金を調達していない。

2. 検索や地図などのビジネスとのシナジー

ヤンデックスは検索をはじめ、独自の地図データやナビゲーションツール、コンピュータビジョン、物体認識テクノロジーなどの多様なリソースを抱えており、ヤンデックスSDGが開発した技術を配車サービスで有効活用できる。

3. 複数の地域や過酷な環境下でのテスト走行

米国の競合が主に温暖なカリフォルニア州やフロリダ州で自動運転のテストを進めてきたのとは対照的に、ヤンデックスの自動運転は主に、冬場はマイナス20°Cにもなる極寒のロシアで実施されている。モルガン・スタンレーは、ヤンデックスSDGが過酷な状況下でテストを重ね、AI(人工知能)に多様な道路状況や環境下で学習を行わせていることが強力な強みだと評価した。


IT都市として発展するロシアのタタールスタン共和国の科学特区イノポリスでは、雪のふりしきる中でのデータ収集やAIのトレーニングが行われている。

同社は現在、約170台の自動運転車両を保有し、その大半はモスクワで運行中だが、テクノロジー都市として知られるイノポリスではロボットタクシーの試験プログラムを実施し、テルアビブ、ミシガン州のアナーバーでもテストを重ねている。モルガン・スタンレーは、同社のフリートの規模がクルーズ(約200台)に匹敵するが、ウェイモ(約600〜700台)を大きく下回ると述べている。

4. LiDARのインハウス化

ヤンデックスは2017年に最初の自動運転車を投入した際にベロダイン社製のLiDARを用いていたが、2019年12月にインハウスでの製造に切り替えた。これにより、同社はウェイモやクルーズ、アルゴAIと並んで独自のLiDARを持つ企業となり、低コスト化を実現した。

5. グループ内の配車サービスとのシナジー

ヤンデックス・タクシーは、ロシアの配車サービス市場のリーダーであり、モスクワでのシェアは60%を超えている。ヤンデックスSDGは、自動運転車を完成させ次第、すみやかにそれを配車サービスに投入し収益化できる。

取材・文=上田裕資

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