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2021.09.13 06:30

高級品オンラインマーケットプレイスの成長は2021年も続く


「リテール・レイザー(Retail Razor)」の創業者リカルド・ベルマー(Ricardo Belmar)に言わせれば、高級ブランドはこれまで、Eコマース導入や、マーケットプレイスを通じた販売の動きが全体的に鈍かったという。それを考え直す理由となったのが新型コロナウイルス感染症だった。

高級品分野では、今後もオンラインマーケットプレイスの繁盛が続く、とベルマーは考えている。

「消費者にとって高級品ショッピングの行程は、他の商品と同様に、デジタルチャネルを通じて始まり、デジタルチャネルで進行すると予想される。したがって、ブランドや小売事業者は、顧客とオンラインで交流して関係を強化し、顧客生涯価値を長期的に育てていくことになるだろう」とベルマーは話している。

その一方で、「リーン・リュクス(Lean Luxe)」のポール・マンフォード(Paul Munford)のように、ことヴェブレン財(販売されている価格が高いほど需要が増す高級品)に関しては、オンラインマーケットプレイスの利用を慎重に検討するべきだ、と考えるEコマースのエキスパートもいる。

「サードパーティのオンラインマーケットプレイスは、消費者との直接のやりとりが少ないことを意味する。高級品の小売事業者は、その点を考える必要がある」とマンフォードは言う。

そうしたトレードオフはあるとしても、ブランドによっては、全世界のオーディエンスへのリーチ拡大にはリスクを冒すだけの価値がある。最近の新型コロナウイルス感染者の急増により、実店舗での買い物がまた制限されるようになる可能性があることを考えれば、それはなおさらだ。

確かなことがひとつある。オンラインショッピングへの大々的な移行は、今後も続くということだ。そしてオンラインマーケットプレイスは、商品発見を促進し、売上を伸ばすのに役立っている。高級品分野も例外ではない。

マーケットプレイス・プラットフォーム「ミラクル(Mirakl)」の共同創業者で米国CEOのエイドリアン・ナッセンバウム(Adrien Nussenbaum)は、「現代のデジタルファースト経済で競争するためには、どんな小売事業者も、マーケットプレイス戦略をしっかり理解する必要がある」と話す。

マッキンゼーの「ステイト・オブ・ファッション(State of Fashion)」報告書のデータも、そうした主張を裏付けている。「2021年には、ショッピングがデジタルチャネルへ移行するという業界のトレンドを、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが加速させる。業績のよいファッション関連企業は、デジタルの強さと、APAC(アジア太平洋地域)への焦点という2つの主要特性のうち、少なくとも1つを共通して備えている」

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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