コーチングとセラピー、その違いは?

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満足度と生産性向上を目標とするコーチング


カウフマンは「コーチングとセラピーには2つの家がある。各家には似たような部屋がある」と説明している。ここで彼女が指しているのは、それぞれの会話で行われる質問や調査の種類だ。

コーチングでは、どのような会話をすべきでないかを覚えておくことが重要だ。「『私の方が知識が多く、私の仕事はその情報をあなたに持たせること』という考え方をすべきではない。コーチングは、相手が理解しているもののそれに気づいていないことに気づかせてあげることだ」

顧客やチームメンバーに自分自身の答えを見つけさせることがコーチングだ。コーチングは、見識を共有し明らかにすることで、(過去の嫌な出来事を克服するのではなく)新たな可能性を開くことに焦点を当てている。

焦点を当てる場所の違い


カウフマンによると、どちらの「家」でもセラピストとコーチの両方が変化と悟りの瞬間を求めている。彼女が「試練の瞬間」と呼ぶものだ。

セラピーは心の傷を経験した人を扱う中で、患者が過去に起きた出来事を語り直せるよう支援する。「その心の傷から得られる意味を見つけるためだ」とカウフマン。

コーチとセラピストはどちらも「あなたが克服しなければならなかったことの中で、最も難しかったことは?」と聞くかもしれない。コーチングでは経理部への対応や新規事業の立ち上げ、セラピーでは10代の心の傷や性的アイデンティティーの問題、虐待などが挙げられる。

道のりは異なるとしても、肩の力を抜き、より楽に人生を送る力が得られるという結果は似ている。

カウフマンによると、コーチングでは過去を見る場合、「この過去の経験を活用してより良いリーダーになるにはどうすればよいか?」と考えるかもしれない。一方、過去を受け入れることやアイデンティティーに関する問いに答えること、過去の心の傷に対する対処メカニズムを見つけることなどが、セラピーが便利で強力なツールとなる分野だ。とはいえ、より大きな成功を収める支援をしてくれるコーチングも、私たちの心の仕組みについて見識を与えてくれる。

より大まかに見ると、両者の違いはそれぞれが注目する場所にある。セラピーは過去に、コーチングは未来に注目する。

不安の高まりや燃え尽き症候群のまん延、継続的な変化があるこうした時期には心の健康が重要だ。組織で適切なタイプの指導が提供されているようにすることが、会社の成功の重要な鍵となる。過去の痛みに対処すべきか、それとも将来の新たな成功を追い求めるべきかを理解することで、自分にとって、またおそらく組織全体にとって正しい道を決めることができる。

翻訳・編集=出田静

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