米国賭博協会(AGA)のデータによると、米国の合法ギャンブル売上高は2021年第2四半期、過去最高の136億ドル(約1兆5000億円)に達した。これは、コロナ流行により業界が不況に陥る数カ月前の19年第3四半期に記録していたこれまでの最高額111億ドル(約1兆2000億円)を22%上回る。
2019年の年間売上高は過去最高の436億ドル(約4兆8000億円)だったが、賭博業界は現在、予想外の急回復を遂げており、今年の売上高は440億ドル(約4兆9000億円)を超えて過去最高となる見通しだ。
ギャンブルが合法化されている州のほとんどで、売上高はコロナ前の水準を超えた。AGAによると、カジノがある25州中22州で、21年第2四半期の売上高は19年同期を上回った。さらに19州では、2021年上半期の売上高が19年同期を超えた。
第2四半期の売上高が最も多かった州はラスベガスのあるネバダで、34億6000ドル(約3800億円、19年同期比で17%増)だった。2位はペンシルベニア州の12億1000ドル(約1300億円、同44.6%増)、3位はニュージャージー州の11億1000ドル(約1200億円、同35.5%増)。
ネバダ州のギャンブル業界は今年、飛ぶ鳥を落とす勢いで、ここ4カ月であらゆる売上高記録を更新した。ネバダ州賭博管理委員会によると、同州の6月のギャンブル売上高は12億ドル(約1300億円、19年同月比14.6%増)で、4カ月連続で10億ドル(約1100億円)を超えた。
ラスベガスのカジノ街が完全復活を遂げるには、会議ビジネスと海外旅行客が必要だ。だが現在は、同市を訪れる米国人が、ギャンブル業界の存続に十分な額を落としている。今年第2四半期のカジノ収入は17億9000ドル(約2000億円)で、史上3番目に高かった。
格付け会社フィッチ・レーティングスは7月上旬に発表した報告書で、ラスベガスのカジノ街が完全復活を遂げる時期の予想を丸1年前倒しし、2023年とした。
ギャンブル業界は、携帯端末によるスポーツ賭博やiGaming(デジタルポーカーやスロットなどのオンライン賭博)により売り上げを保ってきたが、今年第2四半期の記録的売り上げと業界の急速な復活に貢献したのは、カジノでの対面式ギャンブルだ。カジノ収入は、これまでの最高記録だった19年第3四半期から10%近く増加した。
6州のみで合法化されているiGamingの売上高も第1四半期から15%増加し、過去最高の9億100万ドル(約990億円)を記録。21年上半期の売上高は16億6000万ドル(約1800億円)で、すでに2020年の年間売上高(15億5000万ドル)を超えている。
22州と首都ワシントンで合法なスポーツ賭博は、全米で拡大を続けている。米国人が第2四半期に合法スポーツ賭博企業に賭けた金額は8億8900万ドル(約980億円)で、前期比では減少した。第1四半期には「マーチ・マッドネス(3月の熱狂)」と呼ばれて全米が盛り上げる大学バスケットボールトーナメントがあったため、売り上げは上がっていた。スポーツ賭博は2019年第2四半期以降で10州が合法化したことから、売上高が650%近く上がっている。