豪チームが「真の両面ソーラーパネル」を開発、今後の主流となるか

Eric Byler / The Australian National University


そうした太陽光発電プロジェクトにとって大きな障壁となるのが、太陽光をパネルに向けてどうやって反射させるかという問題だ。セルの裏面が吸収できるエネルギーの量は、土壌や天候条件により大きく左右される。

この手の両面ソーラーパネルの経済性は、プロジェクトの個々の条件によって大きく変わる。太陽、土壌、天候という点で、1年を通じて最適な発電が可能な条件がそろう場所はごく限られている。両面ソーラーパネルのプロバイダーは、自社パネルによって出力が25%以上増加すると主張しているが、その通りになるケースはごくまれだ。

一般に、こうしたプロジェクトに適した気候は、乾燥した砂漠地帯で、植物がなく、NIMBY(「Not in My Backyard:必要性はわかるが、自分の裏庭ではやるな」)を主張する人が住んでいない場所だ。

砂漠地域でうまく展開している会社のひとつが、インドを拠点とするスターリング・ウィルソン・ソーラー・ソリューションズ(SWSS)だ。同社はこのほど、米国で194MWの両面太陽光発電施設を建設する9900万ドルの契約を勝ちとった。さらに同社によれば、オマーンで実施している同様の125MW規模のプロジェクトは、世界最大のシングルユニット両面ソーラーパークだという。


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公益事業規模の製造業者の多くは、均等化発電原価(LCOE)を下げることを主たる目標に掲げている。中国のジンコソーラー(JinkoSolar)は、評判のよい新たな182mm角ウエハーパネルに両面技術を導入した。このパネルは、市場に出ているどのソーラーパネルよりも安価なLCOEを誇っており、両面技術により、容量が競合他社と比べて3%向上している。

米国のエネルギー関連組織は、土地の制約に対抗するために、追尾技術とともに両面ソーラーパネルの設置を進めている。イリノイ州シカゴを本拠とするインベナジー(Invenergy)は、ジョージア州ミッチェル郡の人里離れた地域に、同社100番目となる太陽光発電施設「サザンオーク・ソーラーパーク」を開設した。この施設により、160MWのクリーンエネルギーを同郡に供給できる。

建設にあたっては400人が雇用され、操業開始から最初の10年で地域経済に1200万ドルの効果をもたらすと予想されている。同施設のエンジニアリング面のサポートと建設の監督は、リニューアブル・エナジー・システムズ(RES)が担当した。

新技術によってエネルギー効率が上昇し、コストが削減されるのに伴い、再生エネルギーへの移行はヒートアップしている。両面ソーラーモジュールは、来たるべき世界のひとつの兆しにすぎない。

翻訳=梅田智世 / ガリレオ

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