Samは、かつて英国アマゾンで出品業者の担当者を務めた後に、自身の文房具ブランドを立ち上げてアマゾンマーケットプレイスに出品した。兄弟は、Samのこうした経験からOlsamの設立を思い立ったという。
「私はVC業界でよく使われるマルチプルやバリュエーションなどの用語について何も知らなかった。だからこそ、出品業者を買収する際には、彼らが理解できるよう説明することに重点を置いている」とSamは話す。
一方、Ollieは起業する前、コンサルタント会社Alvarez & Marsalのプライベートエクイティ分門やデロイトのキャピタルマーケット部門に務めた経歴を持つ。
米国企業の参入障壁が大きい欧州市場
欧州では、アマゾンのサイトは国ごとに分かれており、税金や法律への対応も複雑だ。また、ポーランドをはじめ、一部の国ではAllegroなどの競合マーケットプレイスが市場を独占しており、アマゾン出品業者や買収企業にとって参入障壁は大きいという。「米国のセラーの多くにとって、欧州進出は困難だ」とSamは話す。
今回のラウンドは、Apeiron Investment GroupとElevat3 Capitalが主導し、North Wall Capitalがデットファイナンシングを実行した。Olsamは、評価額やエクイティとデットの割合など詳細を明らかにしていない。
「このビジネスは大きな資本を必要とするため、他のスタートアップに比べて早い段階からダイリューション(株式の持ち分の希薄化)が大きくなる」とOllieは言う。
Olsamの競合でロンドン本拠のHeroesは8月31日、買収資金を確保するため、Crayhill Capital Managementから2億ドルの融資を得た。Heroesの創業メンバーも兄弟で、Riccardo Bruniと双子の兄弟であるAlessio、3人目の兄弟であるGiancarloが1年前に同社を設立した。