昨年末から、一部店舗で検証を始めたもので、推しのスタッフを応援するという意味を込め、サービスを「推しエール」と名付けた。
スマホの画面に、出勤している店員の一覧と投げ銭ボタンが表示され、スタッフの接客に対する感謝の気持ちとしてチップを渡すことができる。店側は、誰の、どの接客にいくらの推しエールが送られたのか。これまで見えづらかった、スタッフの貢献度を計る指標の一つとして使うことができる。
撮影=曽川拓哉
「飲食業界には、素晴らしい接客をしている、リスペクトされるべき人がたくさんいる。しかし低賃金で待遇の悪い中働く人も多い。また、少ない資金でも事業を始められることもあり参入障壁が低く、地位の低い産業に見られてしまう 。テクノロジーの力で、日本のおもてなし文化に、経済的価値が乗るようにしたい」と意気込む。
推しエールは店舗が8種類の金額を設定。0円から設定でき、金額の上限はない。
投げ銭が入ると、店のPOSシステムからチップの金額、送られたテーブルや従業員の名前が記された紙が出力されるという仕組みで、スタッフが直接客席まで行き、お礼を言うというコミュニケーションも生まれる。
現在進める検証では課題と可能性、その両方が見えてきた。
まず、そもそも日本にはチップ文化がないという障壁がある。投げ銭という概念への認知度の低さから、スマホにボタンが設置されていても、使用することなく退店してしまう客も多いという。
その一方、一度推しエールを使った人のほとんどが、再度来店した時にも投げ銭をするという。チップを渡す文化は、一度経験すると習慣化される可能性があることを示している。
「感謝の気持ちが送られることでスタッフのモチベーション向上になる。その結果、接客の質も高まり、リピート率が上がる、といった世界観を作りたい」と山田は話す。
検証結果を元に、今年中にはバージョン1.0を完成させ、導入店舗を増やしていく。モバイルオーダーというツールを使い、ダイニーは飲食店経営に変革を起こせるか。