このところ、米国のスタートアップ企業界隈ではバブルとも呼べる状況が続いている。
人事向けソフトを開発するZenefitsと金融テクノロジー企業のAffirmが数億ドル規模の資金調達を実施したのに続き、密かに5億ドル以上の資金を調達したと見られるのが、買い物アプリ「Wish」を運営するContextLogic社だ。
調査会社VC Expertsが入手した財務資料によると、ブランド品などを廉価で購入できるショッピングアプリ「Wish」の運営元は、サンフランシスコが拠点。昨年11月に1億3,000万ドル以上に相当する株式を、2月に4億1,500万ドル相当の株式を売り出したと見られている。
情報筋によると、同社の評価額は30億ドルに上っていると言う。
「我々は資金調達に関するコメントは控えている」とWishのCEOであるPeter Szulczewskiはメールでのインタビューに答えた。
Wishが資金調達を行った同じ週には、他のテックベンチャーも相次いで大型調達を実施している。中国のドローンメーカーDJIはAccel Partners から7,500万ドルを調達した。また、先月にはクラウド通信のTwilioが1億ドルを調達している。DJIとTwilioの評価額は、それぞれ80億ドルと11億ドルに上る。
Wall Street Journal は、Wishが昨年6月にFounders Fund から5,000万ドルを調達したラウンド後の評価額を4億ドルだと報じている。当時、Wishは、月間アクティブユーザー数が3,100万人で、約1万の販売者らがWishに商品を登録していると公表していた。
Wishにはウェブ版とアプリ版があり、下着からヘッドフォンまで、幅広い商品の画像がタイル状に表示される。気に入った商品をウィッシュリストに保存すると、Wishのソフトウェアがユーザーの嗜好を学習し、ユーザーはキュレーション形式のショッピング体験をすることができる。商品が売れると、Wishは売上の15%を手数料として徴収する。
「Amazonには、ユーザーが探している商品に関連したアイテムを勧める優れたレコメンドエンジンがある。Wishの場合は、ユーザーの買い物履歴に基づいて、ユーザーが関心を持ちそうな商品を紹介している」と創業者のSzulczewskiは6月にWall Street Journalの取材に答えている。
Wishの株主には、Jerry YangやGGV Capital、 Khosla VenturesのパートナーであるKeith Rabois、俳優のJared LetoとFormation 8らが名を連ねている。Formation 8のJoe LonsdaleはWishの取締役も務めているが、今回の資金調達についてはコメントを拒否している。
Wishは当サイトの記事「米国『次世代のスタートアップ企業』25社リスト」にも登場している。