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「遊び」で変わる地域とくらし


ごみの集積所の隣に宿泊するユニークな体験


私が上勝町ゼロ・ウェイストセンターに到着して、まず驚いたことは、施設がおしゃれな建物で、まったく臭いがしないことだった。建物には、割れた陶器や建具など、町内外から集めたさまざまな廃材も活用されている。NAP建築設計事務所の中村拓志氏が建築設計に携わり、今年の春には日本建築学会賞を受賞した。

ごみの集積所と聞くと、ごみ特有の臭いを想像するが、上勝町では臭いの原因となりやすい生ごみは、各家庭のコンポストなどで堆肥にされる。生ごみは、家庭でリサイクルできる唯一の資源ごみだ。また、食品トレーやペットボトルなどは、きれいに洗い、乾かして持ってきているため臭いの原因にならない。

この町には、ごみ収集車は存在しない。上勝町の住民たちは、各自で上勝町ゼロ・ウェイストセンターまで、ごみを運び込む。車が使用できない家庭に対しては、住民どうしで支援や助け合いが行われているという。

上勝町ゼロ・ウェイストセンターの建物の中に入ってみると、骨董品店のように、食器、洋服、おもちゃなどがたくさん並んでいた。そこは、自分は使わなくなったがまだ使用が可能な物品を、町民が持ち込める「くるくるショップ」という名前のスペースになっていた。

もちろん、HOTEL WHYの宿泊客やウェイストセンターを訪れた観光客が、気に入ったものを持ち帰ってもよい。お金のやりとりはなく、記帳をすれば誰でも無料で持ち帰ることができる。私も豆皿を2つ持って帰り、自宅で愛用している。まさにこのようにして、リユースのバトンがつながっていく。

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骨董品店のような「くるくるショップ」。宝探しをしているような気分になる

宿泊体験施設であるHOTEL WHYでは、館内の備品に対しても、ごみを最低限に抑える工夫をしている。例えば、石鹸はフロントで必要な分のみを自分で切り、持っていく。お茶や珈琲も同様に、必要最低限の量をビンに詰めて部屋に持っていく。パッケージごみが出ないのはもちろん、生活に必要な量はどのぐらいなのだろうと、そこで無駄を生まない意識が芽生える。

宿泊客には、ごみを分別するための6つのケースが入った籠が渡されて、宿泊時に出たごみは自分でケースごとに分別する。なので、チェックアウト時までに、宿泊中に自分たちが出したごみを分別するという体験ができる。

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適量を考え、必要最低限な量を自分で決めて持っていく。石鹸は少し量が多かった

文=内田有映

サステナブル
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