経済・社会

2021.09.08 12:00

新型コロナ、感染後も抗体ができない人は相当数?

Photo by Simon Dawson - Pool/Getty Images

新型コロナウイルスに感染した人の中には、自分にはすでにこのウイルスに対する免疫があると考えている人もいるだろう。そのため、ワクチン接種は不要だと思っているかもしれない。だが、そう信じ込んではいけない可能性がある。

米疾病対策センター(CDC)が発行するジャーナル、Emerging Infectious Diseaseにペンシルベニア大学の研究チームが発表した研究結果によると、感染した人の36%の血液中に、新型コロナウイルスの抗体が確認できなかったという。これは、かなり大きい割合だ。感染した人でもワクチン接種を受ける必要があることを示す、さらなる証拠といえる。

研究チームはPCR検査で陽性が確認された72人を対象に、いずれも症状が治まってから少なくとも3週間が経過した時点で血液を採取し、調査を行った。対象者のうち2人は無症状で、13人(18%)が軽症、48人(67%)が中等症、9人(12%)が重症だった。

その結果、新型コロナウイルス表面のスパイクタンパク質に対する抗体が確認できたのは、46人だった。抗体量は人によってかなりのばらつきがあったという。また、抗体が確認できなかった人の年齢は、できた人と比べ、平均10歳若かった。その他、気道のウイルス量が少なかった人の方が、血中の抗体量が少ないことも明らかになった。

対象者が72人のこの研究は、規模が大きいものとはいえない。だが、当然ながら、感染したすべての人に抗体ができるわけではないこと示唆する研究結果は、この他にもある。例えば、医学誌ランセットが発行するEClinical Medicineに発表されたイスラエルの研究では、感染した698人の5%は血清陰性のままだった。

オックスフォード大学出版局が発行する感染症学のジャーナル、Journal of Infectious Diseases に発表された別の研究結果によると、ニューヨークの住民を対象にした血清抗体調査では、こうした人の割合はさらに高く、約20%だったという。
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編集=木内涼子

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